2016年02月25日

ゲスの極み乙女。『両成敗』

両成敗(初回生産限定盤) - ゲスの極み乙女。
両成敗(初回生産限定盤) - ゲスの極み乙女。

両成敗(通常盤) - ゲスの極み乙女。
両成敗(通常盤) - ゲスの極み乙女。

(楽曲レビュー)
1.両成敗でいいじゃない
 PVも制作されたタイトルナンバー。スターウォーズに合唱団を入れたりするなど多くの要素を詰め込んだこの曲のPVは現状2016年トップクラスの作品になるでしょうか。ボーカルとギターと2つのキーボードを駆使する川谷絵音の姿は、作られた楽曲に編曲を加えても才能の塊ということがあらためて分かります。その有り余る才能がほんの少しだけ性格に振り分けられていれば良かったのかもしれない、と感じる部分も今はあったりしますが。いずれにしても完成品として出来上がった楽曲は名作そのもの。まさに今年を代表する力作と言える内容ではないかとあらためて感じます。

2.続けざまの両成敗
 このアルバムの核は最初の曲もそうですが、”続けざま”にこの曲を入れることで切迫感・臨場感を出していることにあるように思います。この発想が凄いですね。もっともこれもまた、あの騒ぎがあったからこその賜物なのかもしれないのですが…。構成は前半が歌で後半はほとんどインストに近い内容。クラシックに打ち込みを入れたようなこのセクションはむしろ歌よりも聴きどころと言えそうです。

3.ロマンスがありあまる
 昨年6月リリースのシングル曲。映画『ストレイヤーズ・クロニクル』主題歌かつトヨタのCMソング。今になって聴くと余計に様々なことを感じてしまう歌詞がまたオツなもので。

4.シリアルシンガー
 1970年代後半のニューミュージックにあるちょっとした高尚さがよく出ている楽曲。ただキーボードの音色の使い方に若干の新しさも感じます。

5.勤めるリアル
 早口で構成されるAメロ〜Bメロは呟きというべきか畳み掛けてるというべきか。実際入社3年目くらいの若者なら、共感できる人はかなり多そうな感じがしますね。言葉の使い方が全くもって綺麗でないところが心の声のリアルさにも繋がっています。

6.サイデンティティ
 シングル「ロマンスがありあまる」カップリング収録曲。クオリティ高いゲスの極み乙女。のイメージに忠実な作品というイメージです。

7.オトナチック
 昨年10月発売の両A面シングル1曲目収録曲。前2曲と比べると若干ヒットしなかったのは、キャッチーさを少し下げたからなのでしょうか。サビよりも”もう忘れて”の女性コーラスの方が個人的には印象深いです。ただクオリティ自体はやはり高め。

8.id1
 ギターと打ち込み音のみの、アコースティックっぽく聴かせる作品。ライブだとギターのみになりそうですね。

9.心歌舞く
 歌謡曲っぽいメロディーとBメロの三連符と”さよなら、さよなら、さよなら”の歌詞にインパクトがある、聴かせるナンバー。

10.セルマ
 8〜10は17曲あるアルバムの中盤ということで、あえて少しインパクトが強くない曲を入れているような印章もありますね。この曲も編曲と演奏で聴かせる楽曲という印象もあります。聴き応えがあるのはやっぱりラストサビ前の演奏なんですよね。

11.無垢
 演奏に乗せられる朗読。実質次の曲のイントロ。

12.無垢な季節
 昨年10月発売の両A面シングル2曲目収録曲。速いBPMで聴かせる楽曲。盛り上がる曲というわけではないのですが、その分メンバーの演奏の妙を最も堪能出来る楽曲でもあると思います。

13.パラレルスペック (funky ver.)
 ミニアルバム『みんなノーマル』収録曲をリアレンジしてシングル「私以外私じゃないの」に収録されたんバージョンをそのままこちらにも収録。編曲だけでなくサビの歌詞も完全に別物と化しています。ただこのアルバムでどうしても必要かと言われるとやや微妙。
 
14.いけないダンス
 裏拍を刻むリズムに若干のニューウェーブっぽさを感じさせるキーボードの音色。このアルバム以前からのことでもありますが、彼らの音楽は特にキーボード・鍵盤楽器が特に大きな意味を持つとあらためて感じさせる楽曲。

15.私以外私じゃないの
 昨年4月発売のシングル表題曲。そういえばこの曲をネタにした大臣もやめさせられちゃいましたね。楽曲提供したSMAPも大変なことになりましたし、今はチームしゃちほこの無事を祈るばかり。

16.Mr.ゲスX
 一言で言うと狂気を感じさせる楽曲。名は体を表すという表現がピッタリの歌詞もさることながら、4人のセリフでのやり取りに間奏におけるセッション。この一曲に詰まっている情報量は相当なものがあります。特に演奏はインストバンドでも十二分にやっていけるレベルに達しているのではないでしょうか。

17.煙る
 ラストなんですがあまりラストっぽさを感じさせない楽曲のような気がします。終わり方も結構唐突ですからね。メロディーがかなり前面に出ているので、どちらかと言うとindigo la Endでも聴いてみたいナンバーでもあります。でも途中で女性メンバーとのデュエットが入る辺り、やっぱりゲスの曲なんだなぁとも思ったり。


(総評)
 前作『魅力がすごいよ』をレビューしたのが1年3ヶ月前。”2014年トップクラスに位置する最重要作品””ミクスチャーロックもここまで進化したのかと”という名作で、明らかに他のバンドとモノが違うと感じましたが…。さすがにここまで大きな存在になるとは思ってなく。今回17曲収録で思いのほか大作になりましたが一つ一つの楽曲は大変テンポよく作られていて、中盤が若干蛇足な感じもありましたがやはりと言いますか当然と言いますか、間違いない名盤に仕上がっていますね。特にクオリティ高い演奏に更なる進化を感じました。このアルバム、川谷絵音が書いた楽曲のセンスもよく出ていますがまずは何よりも演奏を聴いて欲しいです。極端な話、全曲インストのアルバムを出してもいいくらいではないでしょうか。そういう意味では間違いなく不世出のバンドで代わりのいない存在、今後発表される楽曲にもおおいに期待したいです。
 ただ贔屓目に見ても文春などで書かれている川谷絵音のスキャンダルは人間的に同情できる内容が全く無いので、その点今後の活動は大きなネックになるだろうというのも間違いないような気がします。既にスポンサーも起用を渋っているという記事がありますからね。いくら楽曲が良くても声を聴くだけでイヤと言われればそれまでですし、ライブだとほぼ間違いなくMCで人間性は出ますし、最終的にはメンバーを支持できるかできないかで固定層が決まる側面もあるので…。

posted by Kersee at 02:12| Comment(0) | アルバムレビュー(J-ROCK) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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