2017年03月13日

SHISHAMO『SHISHAMO 4』(2017.2.22)

SHISHAMO 4 - SHISHAMO
SHISHAMO 4 - SHISHAMO

1.好き好き!
2.すれちがいのデート
3.恋に落ちる音が聞こえたら(2016.9.7 Sg.)
4.終わり
5.恋
6.音楽室は秘密基地 ☆
7.きっとあの漫画のせい
8.メトロ
9.夏の恋人(2016.9.7 Sg.)
10.魔法のように ☆
11.明日も ☆


 学生に人気があると言われているスリーピース・ガールズバンド、SHISHAMOの新作。全国流通盤としては通算5枚目のアルバムになります。個人的には一昨年のアルバム『SHISHAMO 2』の時点で”2010年代に残るレベルの名盤””ガールズバンド史上を考えても歴代5本の指に入る作品”と大絶賛しましたが(当時のレビュー)、今作はそれをも凌ぐ素晴らしい作品に仕上がっています。

 前半は恋愛の起承転結を1曲ずつ描いています。冒頭の「好き好き!」は好きになったキッカケをポップに描いた内容。その気持ちの昂りだけでなく、イントロのギターや"Yeah"の使い方など巧さを感じさせる場面も最初からおおいに見せています。「すれちがいのデート」、女目線と男目線のすれ違いを1番と2番で表した歌詞の構成が大変分かりやすいです。オチもしっかりついていて言うことなし。なにげなく聴くよりも、歌詞を見ることでより面白さが分かる楽曲になっています。
 
 「恋に落ちる音が聞こえたら」も大変ポップな楽曲ですが、サビ締めのロングトーンの不気味さが独特。で、次の曲のタイトルが「終わり」。速いBPMでマイナー調のメロディー連発の別れの楽曲。感傷的というより、気持ちを爆発させたような演奏に仕上げているのが面白い部分。そして前半のセクション最後になるのは「恋」。昨年後期の同名異曲はダンスが印象に残る名曲ですが、これは全くベクトルが違うバラード。”達観”という言葉がズバリ当てはまるナンバーになっています。

 場面変わって「音楽室は秘密基地」は『NHKみんなのうた』に書き下ろされた楽曲。転校したばかりの生徒が音楽室のピアノに魅了され、その先生と仲良くなったけど…というストーリー。音楽室を”秘密基地”と称する言葉のセンス、転校生の感情表現、”音楽室から聞こえてきたのはピアノの音”のくだりで本当にピアノが鳴り出す編曲。5分3秒で作られたトラックは、そのまま一つの絵本として出版されても不思議ではない内容。転校して新しい学校に馴染めなかった、好きな先生が遠くに行ってしまったという部分は自分にも体験があることなので、思わず胸が熱くなってしまいました。感動的な名曲に仕上がっています。

 「きっとあの漫画のせい」、気力が無くなったさまを歌う楽曲は”笑わせないでよ”の乾いた笑いが耳に残ります。「メトロ」はミディアムテンポのバラード。以前からの傾向でもあるのですが、マイナーコードの使い方やロングトーンなどaikoのアルバム曲を思い出させる部分がこの曲では特に多々あります。

 ラストは圧巻の名曲三連発。「夏の恋人」は晩夏を思わせるバラード。夏の終わりと恋人との別れを同時進行で描くような歌詞は、寂しさを感じさせます。同時に、自らの意志で別れを告げる辺りに強さを感じさせる楽曲でもあります。ボーカルの絶妙な声質が、それらの気持ちをより助長させているような気もします。

 「魔法のように」はタウンワークのCMソング。ただしPVで見ると完全に化粧品メーカー。歌詞も女の子ならではの気持ちが見事なまでに表現されています。なぜ化粧をするのか、なぜダイエットしたいのか。そこで思うことは何なのか。女性の内面を描いた名曲は過去にもあるかと思いますが、もしかするとこの曲が一番分かりやすくそれを示しているのかもしれません。コーラスで参加する女性たち、キュートさを表現しているかのような演奏。言葉以外でも”女の子だから悩んで楽しめること”を表現できるのがSHISHAMOの凄さ。

 そしてNTTドコモのCMで起用されて大注目されている「明日も」。イントロのギターの第1音、”月火水木金 働いた”の歌い出しを最初に聴いた時点で文句なしの名曲と確信できたナンバーですが、それ以外にもポイントが無数にあります。Bメロの入り、サビで転調する構成、誰しもが自分に置き換えられると思わずにはいられない歌詞の説得力(特にCMで採用されたサビ冒頭は座右の銘としても通用するレベル)、ブラスバンドのアレンジ、メロディーの良さ、これでもかというくらいに畳み掛けるラストサビ、等々力陸上競技場で撮影されたPV(なんでも川崎フロンターレの試合観戦で浮かんだ楽曲なのだそう)と、それに完璧に合致した楽曲のスケール。SHISHAMOのこれまでの楽曲の中では勿論、2017年あるいは2010年代それどころか21世紀という単位に至るまで最上位に入る、22世紀に語り継ぎたい名曲と呼んでいいのではないでしょうか。CMでは”若者に人気”ということですが、間違いなくどの年代でも共感できる楽曲に仕上がっています。中高年も年老いた方も、若者だった時代を経験しているわけでして…。

 以上です。一昨年の『SHISHAMO 2』は2015年の2位に入れましたが、今作は間違いなくそれを超える作品です。若い人だけでなく、アラサー以上の人にも是非オススメしたい名盤です。そして今回のアルバム、とりわけ「明日も」をキッカケに全世代的に、J-ROCKファン以外にも広く愛されるバンドになることを心から願いたいです。






posted by Kersee at 00:47| Comment(0) | アルバムレビュー(J-ROCK) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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