2017年04月27日

YUKI『まばたき』(2017.3.15)

まばたき - YUKI
まばたき - YUKI
まばたき(初回生産限定盤)(DVD付) - YUKI
まばたき(初回生産限定盤)(DVD付) - YUKI

1.暴れたがっている ☆
2.さよならバイスタンダー(2017.2.1 Sg.)
3.こんにちはニューワールド ☆
4.無敵
5.名も無い小さな花
6.レディ・エレクトリック
7.私は誰だ
8.tonight(2015.11.4 Sg.)
9.ポストに声を投げ入れて(2016.7.13 Sg.)
10.バスガール ☆
11.2人だけの世界
12.聞き間違い
13.トワイライト


 ソロデビュー15周年・JUDY AND MARYで音楽活動を始めてから25周年を迎えるYUKIの、通算8枚目となるオリジナルアルバム。

 これまで既存の枠にとらわれない、様々なタイプの楽曲を歌ってきた彼女。今作の宣伝文句は”YUKI史上最強超ド級無敵ポップアルバム”ということですが、それに全く違わない素晴らしい作品に仕上がっています。

 冒頭「暴れたがっている」がまず良いです。2分40秒ほどの短いトラックですが、そこに乗せられた歌詞は情報量・内容ともに大変多く深く。振り返ってみれば若い時の彼女の言動はかなりエキセントリック・アバンギャルドな面もありましたが、年を経るごとに確実に丸くなっていました。この曲は年齢とともに積み重ねた穏やかさを保持しながら、実のところ内面は大きく変わっていないことを示しているかのよう。”あがいてたら 振り出しに戻っていた”という一行がそれを象徴しています。今作の指針とも言える重要なトラック、さながら昨年の宇多田ヒカル「道」に近い部分も感じさせます。

 先行シングル曲「さよならバイスタンダー」はアニメ『3月のライオン』OPテーマ。本人が書いた歌詞を除くと、トラックはアニソンメインの女性歌手が歌いそうな美しい旋律と弦楽器メインの編曲。これをYUKIが歌うことで、あらためて新しいと感じさせる楽曲でもあります。「こんにちはニューワールド」は最近のシティポップよりやや90's方向にシフトしたようなラップミュージック。浮遊感に支配された音楽が非常に心地良いトラック、歌詞は1.と概ね共通しているでしょうか。1990年代を共に生きてきたアラフォー世代には、特に共感できる部分が多いのではないかと思われます。「無敵」もサウンドはノーマルなポップスですが、若い時の追憶と若いままのマインドが共存している歌詞はやはり共通しているようです。

 ミディアムテンポで聴きやすいバンド演奏主体の「名も無い小さな花」を経て、「レディ・エレクトリック」はシンセサイザーの電子音が耳に残るサウンド。リズムは大きく変化ありませんが、編曲で大きな違いを出しています。それに続く「私は誰だ」は速いテンポのバンドサウンド。外部の作曲家が共通していないからこそのバラエティがサウンドによく表れています。

 「tonight」は映画『グラスホッパー』主題歌、「ポストに声を投げ入れて」はポケモン映画タイアップでいずれも先行シングル。前者は三拍子のリズムに乗せられるスケールの大きさとジャズテイストの大人の雰囲気、後者は聴く人を穏やかな気持ちにしてくれるゆったりとしたらバラード。双方とも、歌声の優しさがとても耳に残って、癒やされます。

 バスをテーマにした楽曲もまた名曲の宝庫なのですが、「バスガール」も間違いなくその一つ。本人演じるバスガイドの案内で始まる楽曲はとてもユニークかつコミカル、何より大変キュートでかわいいです。45歳・二児の母親であることを考えると極めて驚異的かつあり得ない一曲。最後の”はい チーズ”に至っては反則以外何者でもありません。凄まじい名曲です。

 「2人だけの世界」は2分44秒の短く淡いラブコメ風味。「聞き間違い」は5分半のストリングスバラード。どちらもそれぞれに聴き応えのある作品に仕上がっています。ラストはエレクトロポップの「トワイライト」。あまりクライマックス感はなく、そのまままた冒頭「暴れたがってる」に輪廻するかあるいは次のアルバムに続くような雰囲気もあったり。2コーラスであっさり終わるのがその象徴とも言えるような。”スタートライン”というフレーズがアルバム最後の曲で耳に残る作品もあまりないように感じますね。新鮮なラストナンバーです。

 まだ今年のアルバムレビューは全体の1/4にも達していないですが、2017年の中で素晴らしいと思えたアルバムに共通しているのは”愛”あるいは”心”でしょうか。この2つが演奏以上に声からすごく伝わる作品が、自然に楽曲・作品の完成度にも繋がっているような気がします。このアルバムはまさにその典型ですね。何と言っても今作の聴きどころは普段以上に内面の自分を表現した歌詞と歌声。これが他の要素を牽引しているような印象がありました。歌詞だけでなく、サウンドに関してもバンド音メインのミディアムテンポ、ストリングスバラードや電子音メイン、ラップミュージックなどなどバラエティー豊かで、似たような曲はほとんど続かず聴く方を飽きさせません。間違いなく今年を代表する名盤だと思います。これまでのYUKIの作品を振り返っても、今作を最高傑作に選ぶファンは多いのではないでしょうか。普段彼女を聴く人たちだけでなく、ジュディマリ時代もソロになってからもあまり聴いていない初心者にもおおいにオススメしたいアルバムです。





posted by Kersee at 00:24| Comment(0) | アルバムレビュー(女性J-POP) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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