2014年12月15日

中島みゆき『問題集』

問題集 - 中島みゆき
問題集 - 中島みゆき

(楽曲レビュー)
1.愛詞
 中島美嘉が昨年リリースしたシングル曲のセルフカバー。1曲目からスケールが他とまるで違うと言わんばかりの愛のバラード。ラブバラードではなくあくまで「愛」のバラードであることをあらためて思わせる作品。また”昨日までと違う意味で”というフレーズも耳に強く残ります。

2.麦の唄
 おなじみ『マッサン』の主題歌。まだアルバム2曲目なのに何というスケール感。

3.ジョークにしないか
 メロディー・歌い方・歌詞の単語の選び方など全体的にデビューして間もない頃の中島みゆきっぽさを感じさせる作品。個人的にはかつてちあきなおみに楽曲提供した「ルージュ」辺りを彷彿とさせる、という印象。

4.病院童
 病院内で起こっている出来事をコミカルかつ躍動感を入れて表現してるような作品。サビだけ聴くとユニークにも思えますが、それだけでは足りない深さもあらためて感じさせるナンバーでもあります。むろん医療モノのドラマには完璧にハマる内容であることは言うまでもありません。

5.産声
 前半の締め。一つ一つの言葉全てに説得力を感じさせるスケールの大きい名曲。歌詞をじっくり見るとそれ以上に素晴らしい言葉をレビューとして選ぶことは出来ない、ということをあらためて感じさせる内容だと思いました。

6.問題集
 タイトルナンバー。この曲も問題集を人生と置き換えたような歌詞が特徴的で、この人が歌うからこそ説得力を感じさせる場面が随所に。ラストのフレーズに象徴されるように、この問題集はおそらく解答を作ることが出来ないのだなとあらためて。逆にこの歌詞を見ての感想文は、実際に中島みゆきファンの国語の先生がいたら宿題にしてるかもしれません。

7.身体の中を流れる涙
 涙に潜む悲しさを重々しく、そして深い洞察力で謳っている作品。このアルバムの中では一番重い曲になるでしょうか。

8.ペルシャ
 ペルシャについて異国っぽい雰囲気で歌っているかと思いきやサビのラストフレーズで全てオチてしまうという作品。不思議な世界に浸るにはピッタリのナンバーです。

9.一夜草
 3拍子のリズムが心地良く美しく響きます。サビで何度も繰り返される”セレナーデ”というフレーズが印象に残りますね。

10.India Goose
 『美の巨人たち』EDテーマとして起用されている曲。このアルバムでは「生」を歌った曲が目立った印象ですが、それを超えて「大地」「地球」のイメージが強く残ります。あるいは渡り鳥のイメージでしょうか。”飛びたて”というフレーズが耳に残りますがその言葉に込められた思いは凄まじいものがあります。特にラストの歌唱は鳥肌モノ。あまりに凄すぎて言葉が出ないというのはこういうのを指すのだと言わんばかりで、これだけでもこのアルバムを聴く価値があるほどです。アルバムラストを飾るに相応しい名曲。

(総評)
 今回のオリジナルアルバムは記念すべき40枚目。勿論その全てを聴いているわけではないのでそれらとの比較は出来ないのですが、単純にこのアルバムが名盤であることは疑いようのない事実だと思います。どの曲も共通して「中島みゆき」なんですが3.みたいな懐かしさを感じさせる曲もあり、4.みたいにコミカルだと思わせる曲もあり。あらためて彼女の守備範囲の広さを感じさせる内容だと思いました。深さに関しては歌詞を見ればもう一目瞭然・説明不要でしょう。特にシングルの2.と前半最後の5.、最終曲の10.に関しては圧巻としか言いようがないところで。色々書くよりもとりあえず聴いてくださいというのが偽らざる本音でもありますね。

 前半5曲・後半5曲とLP時代を思わせる構成も個人的には好印象でした。中島みゆきのアルバムは時に上級者向けと思わせる作品も出ているようですが少なくともこのアルバムは初心者でも入りやすい作りになっているように感じます。今年は「麦の唄」であらためて中島みゆきが再評価された1年でもありますが、それを締めくくるには十二分の内容。是非「麦の唄」キッカケで中島みゆきの世界に触れてみたいという人にもお薦めしたい1枚です。やはり中島みゆきは不世出の凄いアーティストですね。その一言に尽きます。




posted by Kersee at 22:21| Comment(2) | アルバムレビュー(女性J-POP) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
India Goose、本当に名曲ですよね。トレーラーでサビを聴いた瞬間にこれは超名曲だと確信したのですが、実際にフルサイズで聴くとリズミカルでかっこいいAメロにこれでもかと溜めるBメロからのサビというメロディー構成の鮮やかさにしびれました。

おそらく近年の中島みゆきのパブリックイメージそのものの曲といって差支えないでしょうが、パブリックイメージそのもの=最大の得意分野の曲がラスト1曲だけなのに名盤として成立させてしまう引き出しの多さが素晴らしい。

決して天性のセンスでたまたま良い曲がたくさんできたから生まれたのではな、39年の芸歴の中で「わかれうた」で1位を取ったアーティストが「地上の星」を代表曲として定着させるほどに、現状に甘んじることなく時間をかけて引き出しを増やし、能力を磨き続けた結果として生まれた名盤だと思います。

40枚すべて聴いても、これが最高傑作だと自信を持って言えますね
Posted by proser at 2014年12月19日 01:36
>proserさん
 現状に甘んじることなくというのはまさにおっしゃる通りだと思いますね。「わかれうた」「地上の星」「India Goose」、いずれも中島みゆきらしいと思える作品ですがその中でも確実に進化を遂げてる楽曲だと言い切れますね。40枚目のオリジナルでここまで現役感を感じさせるアーティストも過去にほとんどいないのではないかと思われます。
Posted by Kersee at 2014年12月20日 11:12
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。