2014年05月12日

水樹奈々『SUPERNAL LIBERTY』

SUPERNAL LIBERTY - 水樹奈々
SUPERNAL LIBERTY - 水樹奈々

(楽曲レビュー)
1.VIRGIN CODE
 初っ端からElements Garden×水樹奈々の集大成とまで言ってしまいたくなるほどの至高の芸術作品。弦楽器、バンドやピアノから打ち込みのデジタルサウンドまでありとあらゆる音が集まってそのまま生命体にまでなっているかのような内容。ロックでもクラシックでも十分に成立する音、そしてそれを表現する水樹奈々の歌唱力全てが躍動していますね。言うことなしの名曲。

2.GUILTY
 倖田來未が得意としていそうなデジロック。仮に水樹奈々がセクシーな衣装で踊ると言われてもイマイチ絵が浮かびにくい部分もありますが新境地としては十二分に通用している楽曲だと思います。

3.アパッショナート
 歌い出しは島谷ひとみが得意としていたようなエスニックなナンバーかと思いきやメタルの色彩が入った激しいロックナンバー、ですがその中に入る前述したエスニックっぽい非バンドサウンドの音色が他のこういった楽曲にない独特の個性を生み出しています。各パートごとにドラマティックさを思わせる歌唱は見事という一語に尽きますが、作曲したのはなんと水樹奈々本人。あまりにも見事過ぎて言葉がでないという曲はまさにこういう曲のことを指しています。この曲が収録されていることを以って名盤としてもいいくらいの凄まじい楽曲で、今年のベストソング候補と言って良いのではないかと。

4.笑顔の行方
 DREAMS COME TRUEの名曲のカバー。冒頭3曲が恐ろしくアップテンポかつ崇高なナンバーだったのでここで小休止という意味では良い選曲でしょうか。

5.アンティークナハトムジーク
 シンフォニックな編曲と三拍子のリズムが耳に残る、これもまた彼女にしか歌えないような崇高でかつ儚さも感じさせるナンバー。中世のヨーロッパ建築の下で歌う姿が瞬時に思い浮かびます。

6.Fun Fun★People
 管楽器の音がテンポ良く色を添えるファンキーなナンバー。これもまた彼女の新境地とも言える内容ですが、よく合っていると思います。次のシングルをあえてこの路線にするのも面白いかもしれないですが、でもやっぱりアルバムだから出来る挑戦なのかなとも感じました。作曲しているh-wonderも倖田來未やEXILE、BoAなどエイベックス所属歌手の作品で見ることが多いクレジットですね。

7.FATE
 こういう穏やかなバラードだと彼女の綺麗な歌声がより澄んで聴こえますね。どちらかと言うとありふれた楽曲の部類に入る内容ですがこのアルバムの中ではだからこそ良いアクセントとして存在しているようにも感じます。彼女の美しい歌声を堪能するにはこの曲が一番でしょう。

8.Vitalization -Aufwachen Form-
 昨年7月に発表された今作唯一のシングル表題曲。お馴染み『戦姫絶唱シンフォギアG』OPテーマですが、イントロが長くなっているこのアルバムVer.はアニメ内でも使われているそうです。安定と信頼のエレガクオリティ。凄すぎ。

9.哀愁トワイライト
 まさにThat's 歌謡曲。昭和歌謡というよりはニューミュージックっぽいかなと個人的には感じましたが。年代的には庄野真代や原田真二がヒットした昭和53年がドンピシャな気がしました。勿論それとは違う水樹奈々の個性もよく出ています。これもまた彼女の新たなる一面と言えるのかもしれません。

10.セツナキャパシティー
 一方こちらはThat's 90's J-POPという感じですね。PRINCESS PRINCESS辺りが過去に歌っていても何ひとつ違和感ありません。良質なメロディーはライブでも盛り上がりやすいですし、歌詞も彼女の笑顔がそのまま表れた内容と言えるのではないでしょうか。これもまた素晴らしい楽曲だと思います。

11.Ladyspiker
 彼女は非常に音域の広い歌手なんですが、その中でも低音の出し方は今日本にいる歌手の中でも一、二を争う素晴らしさだと思います。これに関してはもしかしたら美空ひばりか中森明菜以来ではないかと感じることもあるのですが、この曲は歌い出しからサビまで低音〜中音域の音程と声質で構成されています。7.が美しい女性的な歌声を堪能する曲だとしたらこの曲は麗しき男性的なカッコ良い歌声を堪能するナンバーだと思います。ブラスバンドが良い味を出している編曲も実にカッコ良い仕上がりで、これもまたよく作られた作品ですね。

12.Rock you baby!
 もう最初の掛け声からしてライブを意識していますね。前向きな歌詞と明るいメロディー、そしてほどほどに主張しているバックバンド、今回のアルバムの中で一番素直に作られた作品じゃないかなと思いました。

13.Million Ways = One Destination
 お馴染みヒャダインこと前山田健一とゲーム音楽を多く手がけている伊藤賢治の共作。シンフォニックでドラマチックな彼女の楽曲らしい内容ですがエレワと比べると若干大人しめ。ですがその分ギターソロがすごく上手く作られているような気がしました。

14.僕らの未来
 デビューから数年間彼女への楽曲提供が多かった矢吹俊郎の久々の提供曲。メロディーにどことなく懐かしさも感じさせるデジロック。

15.愛の星-two hearts-
 シングル「Vitalization」c/wですが編曲はそれよりもかなりシンプルになっています。弦楽器が上松美香演奏のアルパになっていますね。美しい。この曲はもうこの一言に尽きます。


(総評)
 前作『ROCKBOUND NEIGHBORS』も満点をつけたくなる素晴らしい作品でしたがこれを更に進化させたような、まさに名盤中の名盤とも言える逸品でした。彼女の作品を超えるのは彼女自身だけという、いかにもありふれた文面を前作でも十分に使いたくなる内容だったのですがその文章通りの作品に仕上がるとは、いやぁもう恐れ入りましたという一言に尽きます。

 このアルバムは以前の彼女の作品と比べるとかなり曲のバリエーションが広くなったと思います。勿論お馴染みのエレガもありますが初期を思い出させる楽曲、歌謡曲テイスト、バラード、カバー、ロックなど本当に様々な要素があって聴く方を飽きさせません。更に言うとその全ての楽曲がシングル表題曲としても十二分に通用する内容なんですね。一曲たりとも手抜きを全く感じさせないのは水樹奈々のアルバムの以前からの傾向でもあるんですが、そのパターンが増えたことで彼女の新たな魅力を感じさせる場面が相当にあったように思いました。ほぼ低音〜中音域で構成された11.が特にそうですが、2.や6.、9.辺りもそれにあたると思います。では以前からの王道路線がどうなったかというとこれもまた文句なしにパワーアップされてるんですね。あるいはより厳選されたナンバーがこのアルバムに選ばれたと言った方が良いのでしょうか。1.や8.なんかは完全に集大成と言ってしまっても差し支えない内容で、自作曲の3.に至ってはこれまでやってきた音楽の素晴らしい所を全て詰め込んで自分のものにしてしまったと言っても良いナンバーとまで感じてしまいました。

 歌手デビューが2000年、個人的に彼女の名前を知ったのは2005年、シングル曲を毎作聴くようになったのが2007年、紅白歌合戦初出場が2009年、そして今年は2014年。年を経るたびに凄さの度合いが上がっているというのが彼女に対する印象ですがまさか今年に更にその思いが強まるとは初めて知った時に全く想像しませんでした。15曲中13曲がシングル未収録の新曲でこの出来になるというのはもはや異常と言っても差し支えないレベルだと思います。間違いなく2014年のトップクラスに値する名盤ですね。そして次のアルバムがこれを超える可能性があるということに戦慄せざるを得ません。もはや彼女は21世紀を代表する伝説的な歌手として語られる存在になったと言えるのかもしれないですね。




posted by Kersee at 21:00| Comment(0) | アルバムレビュー(女性J-POP) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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