
TIME - KANA-BOON

TIME(初回生産限定盤)(DVD付) - KANA-BOON
(楽曲レビュー)
1.タイムアウト
ビートが効いてスピードも速く、KANA-BOONらしさを象徴しているかのような小気味良いリズムの使い方が印象に残るアップテンポナンバー。ライブでも間違いなく鉄板曲として演奏される楽曲になりそうです。
2.LOL
この曲も勢いがあるとともに、独特のリズムの使い方に巧さを感じさせるナンバー。サビのメロディーもいい感じに作られています。密度の濃い楽曲。
3.ターミナル
京王線か小田急線辺りの通勤・通学ラッシュを感じさせる楽曲。勢いとともに歌詞の描写の丁寧さも感じさせる内容で、これも文句なしの名曲。
4.結晶星
シングル曲。アルバムとしてはここまでの3曲と比べてBPMを少し抑えめにするという構成でしょうか。
5.クラクション
5.と6.はほぼ一体の構成というべきでしょうか。冒頭からクラクションのSEがかき鳴らされます。サーキットか高速道路のラリーを思わせる曲中のギター演奏があまりにも秀逸。これもまた楽曲のスピードに特性があるKANA-BOONの真骨頂といったところで、文句なしの名曲に仕上がっていますね。
6.フルドライブ
シングル曲。言うまでもない名曲ですね。リズムもそうですがこの曲は擬音の使い方も非常に優れています。アルバムの流れでこの曲を聴くというのもまた格別な思いといったところでしょう。
7.生きてゆく
これもシングル曲。アルバム前半と流れが変わって、こちらはメロディーで聴かせる曲という印象になってきました。
8.スコールスコール
メロディーと歌詞に切なさを感じさせる、今までのKANA-BOONにはあまりなかったタイプの楽曲。ちょっと歌謡曲っぽくも聴こえますね。ギターの使い方とBPMの速さはKANA-BOONらしさとして残っていますが。
9.愛にまみれて
この曲もメロディーと歌詞で聴かせるナンバーですね。しみじみと聴き入る中にこれもまたギター・コーラスという編曲の技巧が光ります。
10.シルエット
シングル曲。この曲もリズムとメロディーという基礎能力の高さをあらためて感じさせるナンバー。
11.スノーグローブ
アルバム終盤、ライブでも終盤で歌われることをイメージしたのではないかと思わせるナンバー。冬という季節感よりも”ハローハロー”という歌詞の方が耳に残ります。切なさを歌詞・メロディー双方にうまく表現していますね。
12.パレード
これから先の未来を見据えたような歌詞が印象に残る楽曲。終曲ですがまだまだこのアルバムでは先の演奏が続きそうなテイストですね。良い意味で彼らの若さを感じさせる歌詞でもあります。これはキャリアを重ねたバンドではまず書けない内容でもあるので…。
(総評)
メジャーレーベルでフルアルバムの発売はまだ2枚目なんですが、早くも成熟期を迎えたという感想も抱かせるアルバムでした。当たり前のように名盤に仕上がっています。初聴では前作『DOPPEL』収録曲ほどのインパクトまでではなく、後半が若干弱い印象もありました。ですが繰り返しじっくり聴くと演奏の細かい部分で巧さを感じさせる部分が、これもまた後半で非常に多かったですね。その点では勢いのある前半と聴かせる後半、一枚で二度楽しめる内容のアルバムと言えそうです。またリズムの使い方は既にJ-ROCK随一という域にありますが、今作収録曲ではメロディーの良さも耳に残りました。こういうロックの世界で”着実”という言葉がプラスになるかマイナスになるかは難しい所ですが、作品のクオリティは確実に上昇しているように思います。ここがピークになるかあるいは更に進化するかは今後の楽曲次第でしょうか。J-ROCKの一時代を築くバンドの一つとしてあらためて期待したいです。