おっぱじめ! - 阿部真央
おっぱじめ!(初回限定盤)(DVD付) - 阿部真央
(楽曲レビュー)
1.這い上がれ MY WAY
前向きな決意をそのまま歌にしたような盛り上げ系ナンバー。アルバムのトップにはピッタリの内容で、非常にカッコ良い仕上がりになっています。イントロ無しで始まる歌いだしの歌詞が素晴らしいですね。
2.優しい言葉
ストレートに作られたバンド系ロック。それだけに歌声とメロディーの良さが直に伝わります。MVも作られているリードナンバー。
3.麹町
昭和フォーク調の楽曲に乗せて歌われる上京物語。オーディエンスの掛け声がそのままトラックにも流用されています。サビは特に一度聴いたら忘れることができないレベルで、おそらく麹町に行くたび頭の中でこの曲が流れること確実でしょう。なんだか長渕剛の東京ドーム公演を彷彿とさせる部分もありますね。このアルバムの核になる非常に重要な楽曲。
4.それぞれ歩き出そう
前トラックとは全く対照的な雰囲気、これもまたアルバムならではの良さですね。映画『小野寺の弟・小野寺の姉』主題歌として起用されたシングル曲、青空が似合うほのぼのとした明るいナンバー。
5.words
約6分にわたる切ないピアノ弾き語りナンバー。音の響きがライブを意識させます。
6.深夜高速
悲しい恋心を歌にしたミディアムテンポナンバー。いわゆる高速道路のスピード感とはまた違う味がある楽曲です。
7.Hello, Jewelry Smile
J-POPのアーティストだとTommy february6が歌いそうなタイプの、ファンシーアメリカンポップ。声の出し方やメロディーの作り方はYUKIを意識している感じもしますが。いずれにしても阿部真央にとっては新しいタイプの楽曲と言えます。
8.Marry me baby I love you
サビのメロディーは5年前に発表された楽曲「I wanna see you」を流用していますね。コーラスの入れ方もそうですし、もしかするとコード進行もほぼ同じかもしれません。その曲の主人公が5年目を迎えて結婚するというストーリーを思い描くことができる作品。こういう楽曲を聴くとある程度長いこと活動している甲斐があるというものです。
9.メールのお尻にハートマーク
1分48秒という短い作品。パンクっぽいリズムに乗せられるコミカルな歌詞。
10.always
ゆったりとしたバラード。サビを英語詞メインにしているのも「I wanna see you」を彷彿とさせます。曲調は全く違いますが。
11.Believe in yourself
シングル曲。ストレートに作られたという感が聴いていて気持ち良いです。
12.相模ナンバーのグランドキャビンに乗って
ラストはギター弾き語り作品。湘南ではなく相模というフレーズを選ぶ所がポイント。シークレットトラックとして「麹町」のアコースティックVer.も収録。
(総評)
メジャーデビュー当時に各雑誌で取り上げられていた頃を昨日のことのように思い出しますが、気がつけば今年で7年目、オリジナルアルバムも今作で6枚目。結婚して間もなく母親になるという時期にまで差しかかり、すっかり中堅からベテランの域に達しようとしています。時が流れるのは本当に早いものですね。
前作『貴方を好きな私』はやや重めの雰囲気があって、それゆえに個人的にあまり好きではなかったですが今作は明るい曲からユニークな曲・聴かせる曲などバラエティ豊かに幅広く楽しめる内容。2ndの『ポッぷ』に近い部分があるでしょうか。ただその5年前と比べると守備範囲の広さや表現力などもパワーアップしているといいますか余裕があるといいますか、そういった部分を感じさせる作品になっています。彼女らしさを継続しつつ新しさも感じさせる3.や7.、8.辺りがこのアルバムの面白い部分と言えるでしょうか。彼女のこれまでのアルバムの中で考えると個人的には一、二を争う出来に仕上がっているように思います。次の作品は出産を挟む形になるのでしばらく待つ形になりそうですが、人生における大きなイベントを経て発表される形になるのでこれまた新たな魅力を期待できる作品になりそうです。そういう意味ではシンガーソングライター冥利に尽きる部分もあるでしょうか。長く愛される歌手として今後も応援していきたいです。