
幸せが溢れたら(初回限定盤) - indigo la End

幸せが溢れたら(通常盤) - indigo la End
(楽曲レビュー)
1.ワンダーテンダー
イントロ無しで始まる構成。畳み掛けるメロディーと切なさに切なさを重ねたような歌詞が聴かせます。
2.瞳に映らない
昨年9月リリースのメジャー1stシングル。”あなた”という言葉の連呼が耳に残る、これも切ないナンバー。ブリッジのメロディー・コード進行の上手さは完全に川谷絵音節とも言いたくなるほどで、素晴らしいです。
3.夜汽車は走る
王道と言いますか、素直に作られたラブストーリー系楽曲ですがそれゆえにバンドとしての能力の高さを感じさせる曲でもありますね。夜汽車というシチュエーションも素晴らしいですし、メロディーは言わずもがな。PVも作られているリードナンバー。
4.心ふたつ
6分近くに渡る長尺曲。バラードですが、2番以降の一旦静まってからの展開が非常に素晴らしいですね。音楽性は全く違いますが4分くらいになってからの編曲はサカナクションを彷彿とさせる部分もあります。個人的にはこのアルバムの核になっている楽曲という印象。
5.まなざしの予感
演奏時間58秒の短い曲。セッションに川谷絵音とその相手に扮したような女性のセリフが乗せられるという内容。
6.実験前
聴かせるラブストーリーが続いた展開からガラッと切り替わる、ロックテイストのかなり強い演奏。間奏とアウトロが特にそうですが、この曲のギター演奏は痺れますね。バンド演奏の良さがギッシリ詰まったような作品で、ライブで味わいたい楽曲の一つです。
7.ハートの大きさ
全体的に職人性を感じさせる楽曲がこのアルバムは多いですが、これはその最たる例という気がします。この曲はベースラインが特に優れている印象。
8.花をひとつかみ
この曲もイントロから始まるベースラインがクセになりますね。字余り気味なサビのメロディーも面白いです。
9.つぎの夜へ
幻想的な雰囲気を持たせたバラード。編曲の上手さが特に光ってます。聖歌っぽい感じが良い雰囲気で、アウトロで締める終わり方も最高に良いです。
10.さよならベル
昨年12月24日にリリースされたシングル曲。メロディーの良さとギターの切ない音、これもまたバンドポップの基礎的な部分を全て詰めあわせたような名曲。そしてこれも間奏からブリッジの展開が面白いです。
11.幸せが溢れたら
ラストはPVも作られているタイトルナンバー。非常に壮大かつ悲しげに響き渡る、まさにフィナーレという言葉が相応しい内容。特にPVを見ながら聴くと雰囲気倍増。
(総評)
ゲスの極み乙女。との違いに着目しながら聴きましたが、このグループは正統派バンドロックに川谷さんらしい色をうまく加えた印象ですね。アルバムとしては最初少し平凡かなという印象もありますが中盤に進むに連れて楽曲の作り・統一性・演奏などの凄味が徐々に耳の奥に伝わってきて、もう一度聴いて深く味わいたくなるような作品に仕上げているように思いました。一つ一つの曲もそうですが、アルバムとしてもかなり丁寧に作られている印象で、やはり川谷絵音は只者ではないという評がまず思い浮かびます。indigo la Endの由来はスピッツの名アルバム『インディゴ地平線』からだそうで、確かに切ないメロディーはスピッツらしさを彷彿とさせる部分があるような気もしました。途中サカナクションっぽい場面も2箇所ほどありましたが。いずれにしてもよく作られたアルバムです。J-ROCKファンもそうですが個人的には正統派のメロディアスなバンドポップを求めている人によりお薦めしたい作品。個人的には2週間後のMETROCKで見る可能性が非常に高いバンドなので、ステージはその時にあらためて確認したいと思っています。