2015年06月04日

チャットモンチー『共鳴』

共鳴 - チャットモンチー
共鳴 - チャットモンチー

共鳴(初回生産限定盤)(DVD付) - チャットモンチー
共鳴(初回生産限定盤)(DVD付) - チャットモンチー

(楽曲レビュー)
1.きみがその気なら
 至ってノーマルかつポップなサウンドで始まる演奏ですが、歌詞はのっけから骨のある内容。夢を求めている乙女とあくまで現実を生きる男、それを”スリムでタフな”と表現している歌詞が大変に上手くまた強く共感できますね。”生命線”というフレーズを最後に”生命力”と書き換える部分も、チャットを聴き続けている人にとっては微笑ましくなる場面ではないでしょうか。なおPVは大変ユルくツッコミどころ満載の、チャットのキャラクターがよく出ているものになっています。

2.こころとあたま
 昨年11月発売、新体制を迎えて初めてのシングル曲。男組バックの大変疾走感がある曲で、シンセの音もそうですが個人的には非常に細かいドラム捌きを聴きどころとしてお薦めしたいです。

3.ぜんぶカン
 チャットモンチー初となる、韻を踏むラップをメインに置いた作品。演奏隊もコーラスで半分くらい好き勝手に割り込んでるような感じで、極めて自由なサウンドに仕上がっていますね。

4.隣の女
 先行シングル曲。サスペンスドラマのシナリオとしても使えそうな歌詞が衝撃的。サポートは乙女団と呼ばれる女性2人ですが、その中でピアノ演奏がシリアスな雰囲気により拍車をかけています。

5.毒の花
 演奏時間4分58秒はこのアルバムの中で一番長め。”くいものこさず”というフレーズが耳に残ります。

6.私が証
 冒頭のコーラスはスキャットっぽい雰囲気ですが、すぐさまベース音やダークなギター演奏が響き渡るシリアスな内容に。大変捉えどころのない楽曲、それゆえに聴き応えのあるナンバーでもあります。男陣が歌うパートもあり。3分余りの短い時間ですがかなり濃い内容。

7.楽園天国
 ”楽園”と”天国”を組み合わせるタイトルのセンス、”まず税金がないからうれしい”で始まる歌い出し。3.とは全く違う曲調ですがこの曲もなかなかな韻の踏み具合。まさにハシエリしか書けない独特の世界ですね。

8.最後の果実
 ものすごく80'sアイドル風な楽曲。シンセサイザーの音色が完璧ですね。なんでしょうかこの全体に紗がかかったような雰囲気は。ハシエリの声も意図的にかわいく歌っていて大変素晴らしいです。80年代オマージュは他のアーティストでも多々見られますが、ここまで徹底しているのはほとんどないような気がしますね。

9.例えば、
 直木賞作家の西加奈子が作詞提供。天文台を盗むという歌い出しが常人では考えられないセンス。ちなみに歌詞カード、”実際には歌っていない歌詞も表記してます。心の中で歌ってみて下さい”との注釈あり。何と言いますか、凄いですね。

10.いたちごっこ
 「東京ハチミツオーケストラ」に乗って上京した女の子も、時が経つと”鈍感ではいられない”という心境になり都会の波に飲まれる。個人的には勝手にそう解釈しています。考えてみれば歌っている本人も徳島から出てきて、気がつけば結婚して東京で暮らしているわけですからねぇ。

11.ときめき
 今年3月発売の先行シングル。乙女団の演奏に乗せられて絶唱するバラード。

12.ドライブ
 これまでの波瀾万丈な過去を振り返り、そしてこれからも様々なことが起こるだろうということを示唆する歌詞が印象に残るナンバー。3分30秒の演奏時間があっという間で若干のアッサリ感もありますが、これもまた締めくくりではなく次もまだまだありますよというメッセージ性なのでしょうか。


(総評)
 2人体制で作られた前作『変身』は凄まじい作品でしたが、サポートメンバーを加えた今回のアルバムもまた素晴らしい作品に仕上がりました。文句なしの名盤だと思います。これまでのどのアルバムとも違う作風なのに、紛れも無くチャットモンチーの味を出しているというのが今作でしょうか。特に3.と8.と9.はこのアルバムにおける際立った作品として、後世にまで語り継がれるべき楽曲と言えるでしょう。また1.や10.のように、3人時代から聴いているからこそ感じ入る部分が出てくる楽曲があるのも嬉しいですね。新しくチャットを聴く人にもこれまでのチャットに馴染みのある人にも是非お薦めしたいアルバムになっています。

 セールス的には必ずしも好調とは言えないようですが、このアルバムを聴かずして2015年のJ-ROCKは語れないと思います。アラサーである自分にとっては同年代なので馴染みも自然に深くなりますが、チャットモンチーは過去作品含めて20歳前後のロックキッズにも是非聴いて欲しいです。彼女たちの活動については似たような前例が存在しないですし、また今後もフォロワーはまず生まれないと思います。これだけ形態を変えて素晴らしい作品を世に送り出し続けるのは想像以上に凄まじいことではないでしょうか。あらためて彼女たちに敬意を表したいとともに、次のアルバムに至るまでどういう活動をしていくのか。メジャーデビュー今年で10周年ですが、まだまだこのバンドには引き出しが多数ありそうな気がしてなりません。



posted by Kersee at 01:19| Comment(0) | アルバムレビュー(J-ROCK) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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