
WHITE(初回生産限定盤)(2CD) - Superfly

WHITE(通常盤) - Superfly
(楽曲レビュー)
1.White Light
演奏と歌声で一気に持っていくタイプの、大変に力強いナンバー。1月リリースの配信シングルでPS3ソフト『テイルズ オブ ゼスティリア』テーマソング。「白」という色の特性を越智志帆の感性で完璧に描き切った名曲。
2.Beautiful
TBS系ドラマ『マザー・ゲーム〜彼女たちの階級〜』主題歌。「愛をこめて花束を」「Wildflower」系統の壮大なスケールに仕上げたナンバー、やはり当然のように素晴らしい内容。歌詞の表現・メッセージ性に文句つけようがないのはいつものことですが、派生音のうまさやドラムの刻み方などメロディー・演奏面でも細かく仕上げているという感がありありとみえます。
3.色を剥がして
サビの切ないメロディーが印象的な楽曲。このタイトル・歌詞もやはり”白”という色を意識している内容と言えるのでしょうか。
4.On Your Side
『熱闘甲子園2015』応援ソングとして、7月にはシングルカットされることになる楽曲。ただ内容はスポーティーというより穏やかな情景をイメージしたような印象で、野球で言うとゲームセットがしっくりくるような感じ。ただ歌詞を聴くと確かに、一つのことに向き合う少年を丁寧に描写している内容ですね。何度も聴くことで良さを噛みしめるタイプの名曲と言えそうです。
5.A・HA・HA
80'sの雰囲気をサウンド面でおおいに取り入れた作品。Superflyのこれまでの楽曲で最もコミカルな内容ではないでしょうか。インパクトがかなり強いです。作詞はいしわたり淳治。
6.Woman
BONNIE PINKの楽曲提供。"Woman"というタイトルは女性の逞しさを表現している内容が常ですが、これはその最たる物といったところでしょうか。越智志帆の声が声なので余計にそれが助長されています。メロディーラインは確かにボニピンのそれという感じで、本人が歌っても違和感は全くなさそうですが編曲は全く違うものになりそうな。管楽器を使った演奏は本当にSuperflyの音楽にマッチしていると、あらためて感じます。
7.脱獄の季節
ベースソロから入るイントロが雰囲気タップリ。映画を見ているかのような情景が思い浮かぶ歌詞が大変に良いですね。というよりそこからインスパイアされた歌詞なのかなとも。
8.リビドーに告ぐ
中田裕二の楽曲提供。美しいメロディーと進行で聴かせるナンバー。
9.愛をからだに吹き込んで
ドラマ『ドクターX』第3シーズン主題歌。スピード感とアンセム感を両立させた、2014年を代表する名曲。
10.Live
映画『闇金ウシジマくん Part2』主題歌。同じ2014年リリースのシングル表題曲ながら9.とは全く逆のベクトルで、これもまた完璧なほどの名曲。
11.Space
切ないメロディーのバラード。前半はピアノ主体のシンプルな演奏で聴かせて、2コーラス歌った後にバンド演奏が加わるという構成。歌詞などの表現は日本語の素晴らしさ、メロディーなどの演奏は海外発祥のポップスの素晴らしさ。その2つが最高級に融合しているような作品ですね。歌い手冥利につきるような名曲だと思います。
12.極彩色ハートビート
曲中に入るクラップはおそらくライブだと生になるでしょう。温かい空気が曲中に充満しているようなナンバー。笛が入る編曲も過去のSuperflyではあまりなかったような気がします。
13.You You
シングル「愛をからだに吹き込んで」カップリング曲。これも温かさを感じさせる明るいナンバー。
14.いつか私は歌をうたう
歌い手の思い・美しさを実にシンプルに表した、ピアノ演奏オンリーの名バラード。ラストにふさわしい名曲。
2-1.Blue〜こんな夜には踊れない
初回限定盤は2CD仕様で、そのDisc2はカバーアルバム。まずは桑田佳祐が1988年に歌った楽曲。桑田さんのカバーといえば以前「スキップ・ビート」もありましたね。ジャジーとファンキーを組み合わせたような大人っぽいアレンジ。
2-2.Sweetest Music
竹内まりやが1980年のアルバムで歌った楽曲をカバー。かなりの掘り出し物。これに関しては竹内さん本人もカバーで参加するという豪華なアレンジ。Peter Allen作曲の全編英語詞、調べる辺り収録されているアルバム『Miss M』は1980年ということを考えても竹内まりやの音楽史にとっても相当な意欲作であることがうかがえます。メロディーがものすごくオシャレですね。元ネタのアルバムを入手したくなりました。
2-3.帰れない二人
井上陽水の名曲のカバー。ちなみに作曲は忌野清志郎との共作。陽水さんと比べるとちょっと声が綺麗過ぎるでしょうか。勿論これもこれで良いのですが。
2-4.スローバラード
RCサクセションの名曲カバー、ライブテイク。歌唱もそうですが、それ以上に演奏が原曲以上にパワフルな感じがしました。そのせいかどうか歓声もものすごく大きく聴こえます。個人的には原曲より好きかもしれません。
2-5.楽しい時-Fun Time
佐野元春が1996年にリリースした楽曲のカバー。この曲もやはり原曲以上にパワフルさを感じます。
(総評)
今回が5枚目のアルバムですが、やはり『WHITE』というタイトルだけあってか今までで一番自由度が高いアルバムかなと思いました。クレジットのメンバーに最もそれが表れています。基本「越智志帆」「多保孝一」「蔦谷好位置」が記されることが多い中で今回はそれ以外の名前もかなり多かったですね。「いしわたり淳治」「Chris Cester」辺りは過去にもありましたが…。前作から2年半あったということもあってか、クオリティは今までのどの作品よりも高いように思いました。何と言いますか、どの曲にも『WHITE』の上にそれぞれの『個性』という色がしっかり付け加えられているような感じがしました。その点では共通するアルバムのテーマというより、集合体ということを意識した作品なのかなとも思えます。そしてカバーソングも質の高いものが多い彼女、初回限定盤に収録されている今回のものは選曲・アレンジともに抜群。オリジナル同様、あるいはそれ以上にお薦めしたい内容に仕上がっています。勿論文句なしの名盤。期待して損は全くない作品です。