
D’AZUR(初回生産限定盤)(Blu-ray Disc付) - 藍井エイル

D’AZUR(初回生産限定盤)(DVD付) - 藍井エイル

D’AZUR - 藍井エイル
(楽曲レビュー)
1.awaking
弦楽器と打ち込み音が織り成す、冒頭から非常にスケールの大きいインストゥルメンタルナンバー。
2.IGNITE
『ソードアート・オンラインU』オープニングテーマ。開放感のあるメロディーに切ない要素を入れたような、いずれにしてもシングル曲として全く申し分のない名曲に仕上がっているとあらためて感じさせます。
3.ラピスラズリ
『アルスラーン戦記』エンディングテーマ。メロディー・歌詞・歌声および歌唱表現・演奏・そしてPV。全てにおいて非の打ち所が全くない、2015年を代表する名曲中の名曲。
4.ゆらり
バンド演奏に電子音を加えた、疾走感のあるロックにポップ色を混ぜたようなナンバー。爽やかな曲調ですが歌詞には若干の切なさがありますね。サウンドと歌詞で違う性格を持ち合わせる二面性がありますが、歌詞の中にも二面性が存在しているかのような。そういう意味ではとても厚い作りになっている楽曲ではないかと思います。
5.シンシアの光
PS3・PS Vitaゲーム『ソードアート・オンライン-ロスト・ソング-』オープニングテーマ。配信限定で2月にリリースされた楽曲。シリアスさを感じさせるメロディーは歌謡曲からの影響が少なからずありそうです。こういう曲の運びなのでベースの重要性が非常に高く、またそれが曲の説得力を持たせる上で大きな貢献をしているように感じますね。
6.Quit
ハード系デジロック。歌詞の中にある少なめのフレーズをじっくり歌う楽曲。演奏面では2コーラス歌った後の間奏が何より聴きどころ。ただならぬ雰囲気が漂ってます。終始カッコ良いオーラが出まくりの楽曲で、おそらくライブだとその魅力に圧倒されるナンバーになりそうです。
7.Bright Future
80'sガールズロックらしさを前面に出した作品。ベースになっているのは渡辺美里でしょうか、あるいは浜田麻里でしょうか。いずれにしてもスタジアム、特に西武ドーム辺りのライブだと完璧に映えそうなナンバーであることは疑いようがありません。それくらいの大人数で一緒に”ウォーウォーウォーウォー”とコールしたくなる雰囲気に満ち満ちた楽曲で、このアルバムの核になるナンバーでもありますね。
8.JUMP!!!
速いBPMで、この曲もライブでの盛り上げを狙ったようなナンバー。至ってノーマルかつ王道、だからこそ余計に歌声が爽やかで、気持ち良く楽しめそうな感じがします。
9.幻影
マイナー調のメロディーに速いBPM、そこに入れられる弦楽器はElements Garden色もあるでしょうか。サビでリズムが変わる部分、星空を想像させる打ち込み音も見事でこれも大変高いクオリティ。ものすごくカッコ良いとともに、藍井エイルの歌唱力があるからこそ成立する楽曲でもあります。
10.ずっとそばで
10曲目にしてようやくこのアルバム初のバラード。”何度だって抱きしめるよ”というサビのフレーズが彼女の声で表現されると大変な説得力になります。徐々に盛り上がっていくような構成で、特に最後のワンフレーズの歌唱はまさに鳥肌モノ。
11.GENESIS
アニメ『アルドノア・ゼロ』第2クールエンディングテーマ。単純な声量や声質以上に表現力の高さをあらためて感じさせた名曲。カテゴリ的にはこれもバラードになるでしょうか。10.同様バンド演奏はかなり力入っていますが。
12.ツナガルオモイ
シングル曲ですが実質ノンタイアップ(『ランク王国』OPテーマ)。ですが今回のアルバムの中で個人の想いが一番詰まっているのはこの曲のような気がします。特にライブへ足を運んだ身である自分としては余計にそれを感じてしまいますね。
13.青の世界
アルバム本編ラストを締めるにはあまりにも相応しすぎる大作バラード。弦楽器とピアノがメインの編曲なので余計に声が直接心に響きます。
14.BREAK OUT!
ボーナストラック。相川七瀬の名曲のカバー。デジタル色強めのアレンジ。やはり実際に不良少女だった元歌を歌ってる人と比べると幾分爽やかな印象があります。これもこれで良いんですけどね。
(楽曲レビュー)
先行シングル4曲がいずれも素晴らしい作品だったので今回のアルバムにも大変期待しましたが、もう言葉が出ないほどのレベルですね。今回でオリジナルアルバムは3枚目。1枚目も2枚目も素晴らしい作品でしたが、この作品はそんな過去の名作を軽く超えています。今年あるいは2010年代を代表する名盤と言っても良いのではないでしょうか。
藍井エイルの歌い手としての凄さは既に何度も語っている通りですが、今作では表現力まで身につけてしまいました。いよいよ”地上最強の歌姫”と名づけたくなるほどの輝きになっています。楽曲も1曲1曲個別で聴いても良し、アルバムとして全体の流れを加味して聴いても実に良し。シングルの会心作でまず始まり、中盤の盛り上がるパートを経てラスト3曲は聴かせる楽曲を置くという構成もすごく自然に仕上がっています。ラストのカバーはボーナストラックとして割り切れるでしょうか。先行シングル曲だけでなくこのアルバム初収録の楽曲も粒揃いで、特に7.は今年の楽曲単位で見てもおそらく上位に入る作品になるかと思います。
11月には武道館単独公演も決定して、ますます勢いに乗った感のある彼女。実績も十分ですが知名度という点ではまだもう少しという部分もあります。ですがこれだけの実力、おそらく来年の今頃にはもっと大きな会場で単独公演する可能性も高いのではないでしょうか。武道館にも行きますがそれより大きい会場でライブを開催することになるとしたら、是非足を運びたいとあらためて思うところです。