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(楽曲レビュー)
1.手加減の無い未来
アルバムのオープニングらしい爽やかさに満ち満ちたナンバー。今までのパスピエの楽曲の中ではもっともノーマルな部類にあたる楽曲なのかな、という気もします。
2.裏の裏
7月リリースの先行シングル。テンポの速いリズムに畳み掛けるような大胡田なつきのボーカルとキーボードの演奏。聴けば聴くほど聴き応えを感じさせるナンバー。今年の下半期を代表する名曲でしょう。
3.アンサー
大胡田なつきの声色が1番Bメロだけ若干変わっているのがこの曲の一番大きなポイント。それ以外はアジアンテイストが若干入っているくらいで、これまた至って良質かつノーマル。
4.蜘蛛の糸
イントロをはじめとして、この曲の基礎として構成されるギターソロとベースの調べが良い味を出しています。ポップな色に歌謡曲あるいはちょっとばかし文学っぽさも入っているでしょうか。この曲は良い意味でパスピエならではというナンバーという印象で、個人的には高ポイント。
5.術中ハック
一定の音階を刻み続けるキーボートと見せ場満載のギター演奏がツボになっている曲。なんだかニューミュージックをアップデートさせたような雰囲気もあります。
6.贅沢ないいわけ
昨年11月に配信限定シングルとしてリリースされた楽曲。この曲も間奏のピアノ・ドラムに大きな聴き応え。メロディーの良さはシングルならではの風格もあるでしょうか。名曲だと思います。
7.花
ゆっくり、じっくりと進行していくバラード。重厚感のある演奏が何よりも素晴らしい名曲。
8.ハレとケ
こう進行するのか!と思わせるメロディーと、これまた間奏のドラムのリズムが聴きどころ。タイトル含めてこれぞパスピエと思わせる楽曲ですね。
9.つくり囃子
メロディーに含有される和の雰囲気とキーボードがギンギン鳴り渡る編曲とのミスマッチさ。非常に癖になる楽曲です。この曲も完成度非常に高め。
10.ギブとテイク
スカのリズムとジャズの雰囲気、更にクラシックっぽいピアノソロからの童謡テイストという具合で随所変幻自在に切り替えるものすごい曲。この曲が演奏されている2分40秒の濃さが堪りません。
11.トキノワ
今年4月リリースのシングル曲。「裏の裏」同様、NHK Eテレのアニメ『境界のRINNE』タイアップ。単体で聴いた時はそうでもなかったですが、アルバムで通しで聴いた時の大団円感は凄まじいです。
12.素顔
バンドというより楽団という名称の方がしっくりくるバック演奏、クリスタルな雰囲気はクリスマスソングとして採用しても十二分でしょうか。歌詞もメロディーも大変素直に、文字通り音楽で素顔を表現している作品だと思います。
(総評)
一般層にも入りやすい楽曲から、徐々にパスピエならではの濃い世界にいざなってくれるような作品ですね。『演出家出演』『幕の内ISM』に続く3枚目のフルアルバムですが、完成度は間違いなく今作が一番高いと思います。前作もそうだったんですが、このアルバムも後半に向けてのラストスパート感が半端なかったですね。最後の最後まで退屈さを全く感じさせない作品でした。個性の強い音楽だからこそ7.や12.が余計に心に響く部分もあります。そして大胡田なつきのインパクトある声に隠れてバンド演奏も物凄いですね。相当技術がないと表現できないんじゃないかという箇所も多々ありました。それによって音楽としての自由度が更に上がり、逆に制約をつけることでまた面白味が上がっているような印象もあります。文句なしでしょう。全部名曲と言っても差し支えのない内容で、今年トップクラスの名盤と言っていいのではないでしょうか。