MUSIC BATTLER (初回限定盤 Type-A CD+DVD) - Gacharic Spin
MUSIC BATTLER (初回限定盤 Type-B CD+DVD) - Gacharic Spin
MUSIC BATTLER (通常盤 CD) - Gacharic Spin
(楽曲レビュー)
1.ノスタルジックブルー
メロディアスなバンドロックにHIGH and MIGHTY COLORを思い出させるデスボイスが入るナンバー。ボーカルの高音ボイスはSchool Food Punishmentの内村友美を彷彿とさせる面もあるでしょうか。いわゆる”プログレッシブ”という単語が実にしっくりくる楽曲ではないかと思います。
2.デジタルフィクション
力強い演奏が耳に残る超絶ロックナンバー。デスボイス含めて、ガールズバンドらしさが全くありません。ボーカルはともかく他のメンバーも全員女性のはずなんですが、そういう意味では凄い楽曲ですね。圧倒されます。
3.MUSIC BATTLER
シンセサイザーのデジタル音が目立ちますが、バンドロックの力強さも印象深いですね。その中にDJスクラッチっぽい音も混じっていたりして完成度は極めて高いです。ガールズ・デジロックの権化とも言えるでしょうか。これも傑作と言い切って良さそうなナンバーです。戦隊モノを模したPVもサンプルを見た限り完成度は極めて高そうですね。
4.常識デストロイヤー
これもまたかなり激しい曲でひたすらカッコ良さが目立ちますが、サビ後半の半音下げに歌謡曲の色も感じます。
5.夢言実行
バラード、とまではいきませんがここまでの4曲と比べるとポップ色がやや強めのナンバー。だからこそAメロのボーカルの低音が余計に耳に残りますね。こういう歌詞を聴かせるメロディアスな楽曲でもメタル色強めの演奏を貫くのは大変素晴らしいことです。バンドによってはここで余計なストリングスが入ることも、こういうタイプの楽曲では多々あるので…。
6.ガンバンバダンサー
ガールズバンドであるGacharic Spinですが、このグループにはなぜかパフォーマーも2人存在しているそうです。この曲はライブだと特にパフォーマーが大活躍するナンバーになるのでしょうか。明るく盛り上がる中でメロディーもハッキリしているアゲアゲ系ナンバー。来年辺りにこういった路線の曲をSMAPのアルバム曲として提供しそうな予感もします。トラックとしてはCメロのスキャットからの流れが聴きどころ、ビジュアルだけでなく耳で聴くだけでも十二分に楽しめるナンバーでもあります。
7.ファイナルなファンタジー
見るからに某スクウェア社の人気RPGシリーズから拝借したタイトルと勇壮なイントロ。ただしこういうタイトルに限って楽曲は至ってマジメなもので、実際大変切ないポップソングに仕上がっております。
8.夢喰いザメ
シングル「Don't Let Me Down」のカップリング曲。デジロック・メタル・アンセム・ソングという一言が一番しっくりくるでしょうか。
9.Identity
メロディーの良さとドラムの演奏が特に目立つ曲ですね。ちょっと1990年代後半ヒットソングの色もあるでしょうか。
10.またね
このアルバム唯一のラブバラード。ここだけ切り取ると割とノーマルなガールズポップ。
11.赤裸ライアー
2月発売のメジャーデビューシングル収録曲。イントロのベース演奏から感じるガチっぷりは本物。妥協なく響き渡るデジタルサウンドと力強いバンド競演を堪能できるナンバーですね。サビのコーラスの入れ方も絶品で、思わず何度もヘドバンしたくなります。
12.Don't Let Me Down
全曲Gacharic Spinの作詞・作曲で通していますがこの曲だけは日高央(元BEAT CRUSADERS)の楽曲提供。アニメ『ドラゴンボール改』エンディング・テーマ。というわけでちょっとこれだけ他の曲とメロディーが異質な印象あります。一言でいうとこの曲だけちょっと洗練されすぎてるような。アルバムのラストナンバーというよりボーナストラックとして捉えた方がしっくり来ます。デジロック色強い編曲は彼女たちの路線そのままですが。
(総評)
インディーズ時代から、長年相互リンクさせて頂いている『空想旅団〜人生という名の旅の途中〜』のえむけーさんが大絶賛しているバンドですがあらためて聴いて実に納得。間違いなく今年を代表する作品だと思います。今までのガールズバンドでは間違いなく表現できなかった音で、大変に圧倒されました。楽曲としてはHIGH and MIGHTY COLOR、School Food Punishmentや筋肉少女帯、SHOW-YA辺りの中間点をいってる感じですが元になっているのはおそらく向こうの音楽。それが独自性を増してこういう路線に昇華したのかなという印象があります。2.や3.は特に素晴らしい出来ですね。10.のようなバラード、あるいはラスト曲みたいな外部提供もあって思ったより楽曲の幅も広め。ただメインとなる路線はかなりハッキリしていますね。
それにしてもパフォーマーがいるバンドというのもあまり聞いたことありません。ダイジェスト映像を見る限りかなり特異で癖になりそうな内容であること間違いなさそうです。できれば来年辺り現場も見たいですね。ロック色の強いガールズバンドは過去にもいましたが、これにエンタメ色がプラスされているバンドは過去にいないと思います。そうなると必然的に来年のブレイク候補一番手に近い存在になるでしょうか。次作以降の作品も非常に楽しみにしたいです。
ぜひそうなって欲しいのですが、しかしライブの客層を見ると現状ブレイクするイメージは湧きにくいんですよね。
やはり10代20代のファンや女性ファンも増えないと厳しい気がします。
以前にはNegiccoのファンは年齢層が高い、アラサー、アラフォーが多いという話を聞きましたが、ガチャピンのファンはアラフォー、アラフィフばかりですよ・・・
私はファン層がどんなんであろうと楽曲が素晴らしければライブに行き続けるのですが、世の中そんな人ばかりじゃないからなぁ・・ましてや10代20代ならば周りの影響って大きいでしょうし。
これは本人達も努力してるのが分かるのですが、やはり若い人に人気のバンドと対バンしたりフェスに数多く出たりして、ファン層を少しでも広げて欲しいですね。
やってることはすごく新しいので、あとはプロモーション次第ですかねぇ。ビクターはCyntiaで失敗しているので、そこのところが大丈夫かなという不安もあります。ファン層はやってる音楽考えると仕方ないと思いますし、むしろ中高生のファンより離れる確率は間違いなく低いので気にする必要ないと思います。もちろんその層を獲得すれば広がりは全く変わってくるんですけどね。