
人生はまだまだ続く(初回限定盤) - キュウソネコカミ

人生はまだまだ続く - キュウソネコカミ
(楽曲レビュー)
1.泣くな親父
娘を持つお父さんの悲哀を大変センセーショナルに描いた作品。お父さんよりもキュウソを応援する娘さん必聴というところでしょうか。
2.MEGA SHAKE IT!
メジャー初のシングル曲。彼らの場合ミニアルバム中心のリリースでシングルは今年7月のこの曲が初めてだったんですね。メガシャキ!メガシャキ!と歌われる大変憶えやすいサビにライブでコールもしやすいコーラスパート、ほどよく入る社会風刺になぜか突然ハウスミュージックが入る曲の進行。したがってミュージックビデオも当然のようにカオスな内容。よくぞここまで詰め込むことが出来るなぁと感心せずにはいられない楽曲で、勿論今年の楽曲の中でもかなりの上位に入りますね。言うことなしの2015年を代表する作品だと思います。
3.イマジネンス
キーボードの音が強い疾走ロックナンバー。キュウソにしてはえらくノーマルな歌詞という印象もあります。
4.ビーフ or チキン
あんまりbeef or chickenという必然性を感じないタイトルと歌詞ではありますが、仕事している上で共感できる部分は実に多い曲であります。言葉ってやっぱり難しいですよね。
5.NEKOSAMA
確かにTwitterで猫の写真を挙げるだけでいいね!がやたら増える傾向ありますね。そんな猫にあやかろう!という精神のもと作られた楽曲であります。風刺するかと思いきや結局自分も猫好きになっていたというオチ。シュールでユニーク。でもそもそもバンド名にネコ入ってますからね。
6.フラッシュバック
各所に入るキーボードの音に間奏に入るドラムなど、案外歌詞よりも演奏で聴かせる楽曲という印象ですね。ちなみにこの歌詞のようにトラウマになっている場面が夢の中でフラッシュバックすること、自分もあります。
7.春になっても
春になると新生活を迎えるという曲が普通なら定番ですが、これは春になっても変わらないニートのような生活を歌った楽曲です。リア充色まるでありません。でもメロディーは和音階メインで割とそれらしい感じだったりもします。
8.記憶にございません
嘘つきは泥棒のはじまり、ということを歌った曲。ツボはやはり”はい!”の連発シーン。やっぱり歌詞に耳にいきがちですが不穏なイントロ・アウトロのメロディーや”嘘つき”という女性の台詞を入れるなど、なにげに音楽面でも結構凝った作品であります。
9.ハッピーポンコツ
2.と同様シングル曲。キュウソネコカミならではの人生讃歌というところでしょうか。
10.ヤブ医者
文字通り、ヤブ医者を痛烈に批判した歌詞で怒り狂う楽曲。
11.適度に武士道、サムライBOYS。
なんだかんだで最後はカッコ良いも考えさせられるような歌詞で締める、っていう感じですね。こういう内容をこれだけ分かりやすく書けるというのもかなりの才能ではないかと思います。
12.[Secret Track]
ライブテイクのアンセム風バラード。
(総評)
大変に聴きやすく分かりやすい名盤ですね。大学で就職せずにバンドを続けたという理由でここまで売れるバンドもそうはいないと思うのですが、これを聴けば理由がすごく分かります。
歌詞の特異さは既に先のアルバムにおいて各所で語られていますが、それをより際立たせているのがボーカルの上手さと編曲の巧さではないかと思いました。こういう歌詞だと明快に歌わないと意味がないのですが、ボーカルのヤマサキセイヤはかなり一つ一つの言葉をハッキリ歌っているんじゃないかという印象を持ちました。また演奏もキーボード・ドラム・ベースいずれも各所にソロで聴きどころがあったりして、案外音だけでも楽しめるバンドという印象を持ちましたね。ライブでのレスポンスを前提としたコーラスの入れ方も実に巧みで、この2年フェスでステージに立つたび入場制限がかかるという評判も納得。だとするとあとは現場で見るだけですね。
関西学院大学出身ということで、このバンドはメジャーデビューしてからも関西でライブする機会はかなり多いとききます。とりあえずカミコベ辺りになると思うのですが相当知名度も上がっているので、果たして来年は今年までのように細かくライブをこなすことが出来るのでしょうか。それだけが少し心配な部分になりますね。また過去作もあらためて聴き直したいです(ちなみに年始に出てレビューしていないミニアルバム『ハッピーポンコツランド』収録の「OS」も今年の上位に間違いなく入りそうです)。いよいよ来年は彼らが大旋風を巻き起こす年になるのではないでしょうか。J-ROCKの中では一番期待度高いバンドになるかもしれません。おおいに楽しみにしたいです。