2016年03月30日

Silent Siren『S』

S(初回生産限定盤)(DVD付) - Silent Siren
S(初回生産限定盤)(DVD付) - Silent Siren

S - Silent Siren
S - Silent Siren

(楽曲レビュー)
1.チェリボム
 いきなりですが、これは間違いなく今年トップレベルの名曲だと思います。ポップでキュートでちょっとエッチな雰囲気は大変かわいく、イントロのベースから演奏もカッコ良く、変化に富んだ曲の構成も賑やか過ぎるほどのPVも。全てにおいて隙がありません。これまでのサイサイを振り返っても、間違いなく最高傑作と言える楽曲なのではないでしょうか。

2.八月の夜
 昨年8月リリースのシングル表題曲。切ない歌詞以上にメロディーの良さが光る楽曲。Bメロの擬音パートが特に優れています。この曲も極めて完成度の高い、名曲中の名曲。

3.milk boy
 ”ころころころ””くるくるくるくる”に代表される擬音と構成の上手さがこの曲も光っています。歌詞は1.以上に恋愛色高め、そこそこの魔性っぷりも出ています。ドロドロしたドラマの主題歌にも使えそうな。

4.ハピマリ
 昨年6月リリースのシングル表題曲。幸せいっぱいのウエディングソング。なおPVではすぅとおぎやはぎ・矢作兼が結婚するという展開のようです。

5.Love install
 サイサイの歌詞は大半がボーカル&ギターのすぅが担当していますが、この曲はベースのあいにゃん作詞。全体としてはそこそこに硬派なサウンド。テクノチックに響き渡るキーボードが効果的。

6.hikari
 シングル「alarm」カップリング収録曲、映画『通学シリーズ 通学電車』主題歌。着実なメロディーで、ノーマルに作られたラブソング。

7.吉田さん
 キュートな女子のアルバムなら1曲は必ず入れておきたい系の、コミカルなナンバー。内容は同窓会の女子模様を、女子ならではの目線で余す所なく描くもの。多分”完璧すぎるあの子”の名前が吉田さん、というオチなのでしょうおそらく。ちなみにこれはすぅの実体験なんだとか。

8.レイラ
 ドラムのひなんちゅ作詞。作曲もクボナオキを多くを占める中この曲だけsamfreeと、違う名前がクレジットされています。”もっと私を見て欲しい”という彼へのメッセージが込められたラブソング。

9.alarm
 昨年11月リリースのシングル曲。自然体の光をイメージしたような歌詞が印象的なナンバー。NTV系深夜ドラマ『いつかティファニーで朝食を』主題歌は、サイサイにとって初のドラマタイアップなんだとか。

10.nukumor
 ”ぬくもり”なんですが、”本当の愛が欲しいよ”という歌詞が冒頭にあることで最後の"i"を抜いているわけですね。良いセンスです。アップテンポの曲がここまで多く占めていましたが、この曲はバラード。純粋なバンドサウンドで聴かせる演奏は、ライブでは特に腕の見せどころになりそうです。

11.C.A.F.E.
 キーボードのゆかるん作詞。コーラスの魅力が最大限に活きている明るいポップソング。

12.スローモーニング
 ドラマ『いつかティファニーで朝食を』は2期にわたって放送されているそうで、そのSeason2で使われている主題歌。アルバムリリースがなければおそらくシングルで発売されている曲ですね。この曲も切ない王道ラブソング。ただストリングスを使わない、バンドサウンドにこだわる編曲が良い意味で今のサイサイを表しているようにも思います。

13.secret base〜君がくれたもの〜
 ZONEの名曲のカバー。ただ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』実写版ドラマエンディングテーマで、こちらのイメージの方が強い人も出てきたかもしれません。バンド演奏はこちらの方が当然上なんだと思いますが、ブリッジは4人引き継いで歌った方が雰囲気あるかなぁとは個人的に感じてしまいます。編成上仕方ないのは分かっているのですが。


(総評)
 冒頭1.〜2.に関しては楽曲・流れともに完璧で、100点満点なら120点つけたくなるくらいの出来だと思います。それだけで名盤と呼びたいくらいなのですが、そこがあまりに良すぎる分あとの印象がちょっと薄くなってしまう部分も否めないでしょうか。全体的に見ると楽曲の幅は前作『サイレントサイレン』の方が広いような気もしました。ラブソング中心に据える辺り、同年代の20代女子の支持を狙った部分が出ているように感じますが…。ガールズバンドはコーラスも普通のバンドより目立つ要素になるのですが、それが際立っていたのは今回1.と11.くらいでしょうか。もう少し入れてもいいような気がします。ただその分演奏で目立つシーンは以前より増えているようにも感じます。この辺はライブで分析した方がいいのかもしれませんが、バンドとしての実力はアルバムを聴く限り確実に上がっていると考えて良さそうですね。もう”読者モデルがバンドをやってみると意外と本格的だった”という域は完全に超えています。
 今後目指すとしたらやはりSCANDAL辺りになるでしょうか。もっともボーカルの声質をはじめとして音楽性は全く違いますし、何よりガールズバンドでも過去サイサイっぽいバンドは思い浮かびません。そうなるとここから作り出される歴史は常に新しいモノになります。果たしてどこまでいけるのでしょうか。振り返ると自分はSCANDALに関して言えば途中大変厳しい感想も書きましたが、今は完全にその気持ちは覆されました。今もサイサイに関しては期待しているからこそ若干厳しい文面になっています。3年後、5年後、あるいは10年後。彼女たちがどういったバンドに昇華しているか、まだまだ追い続けたいところです。




posted by Kersee at 00:33| Comment(0) | アルバムレビュー(女性J-POP) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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