
BASIN TECHNO(初回生産限定盤)(DVD付) - 岡崎体育

BASIN TECHNO - 岡崎体育
(楽曲レビュー)
1.Explain
一連のJ-POP曲のあるあるを思いっきり説明している楽曲。歌詞の説明通りにトラックが進むという、文字通り”曲を説明しているだけ”の内容。2番に至っては口パクを自らカミングアウトするので、ライブでは当然のように十八番になります。ちなみに編曲は全体的にクールでカッコ良く、その点でのセンスは完璧。だからこそ歌詞の面白さがより浮き彫りになっています。
2.MUSIC VIDEO
一連のミュージックビデオのあるあるを思いっきり説明している楽曲。映像で見るとなお説得力を増すこのPVは、現在Youtubeで500万回近くの再生回数にまでなりました。見事な発想力です。
3.家族構成
この曲は2014年のインディーズアルバム『DESKTOP』に収録されていて、Youtubeでも一昨年11月にアップされていました。注目していた人はもうこの時点でブログに紹介していましたね。家族愛を歌ういい歌なんですが、やっぱりサビ以外の歌詞とミュージックビデオはなかなかシュール。一筋縄ではいかない面白さを伝える映像は、どちらかと言うとR-1で見るフリップネタに近いです。
4.FRIENDS
これもインディーズ時代からの持ち歌で、Youtubeでのアップは昨年10月でしたが既にその年GWのCOMIN' KOBEでは歌われていました。水色のパペットを友達に見立ててほのぼの歌う曲かと思いきや、中盤で大変生々しい話題になってしまいます。そういう意味では、世の中本当に大事なのは仲間でなくお金だというのがすごく分かる楽曲です。
5.Voice Of Heart
分かりやすいメロディーにクールな編曲、普通にJ-POPとしてよく出来た楽曲かと思いきや、2番になると突如歌詞が出てこなくなってパニックになります。それがそのまま曲として表現されている内容。ちなみにラストはPVとトラックで違うセリフになっています。
6.Outbreak
1分14秒の自己紹介的インスト。ちなみにこのトラックにもPVが作られています。
7.スペツナズ
インディーズ時代からの楽曲。収録されているアルバム『FICTIONAL ZODAIC』は廃盤になっているようです。全編エフェクトをかけてやや無機質に歌われる楽曲はウケ狙いな部分もなく、かと言ってマジメかと言われるとやや微妙。ただ”静”の部分を大事にしているという意味では聴き応えがあり、クセになる内容で面白いです。"funny"ではなく"interesting"、この単語がすごく似合うナンバーですね。
8.エクレア
インディーズ時代からの楽曲。生のギター演奏が彩りを添え、ゆったりしたリズムで歌い上げるマジメなバラード。”いい曲はいい人と共に いい曲といい歌はいい人といい場所で”のサビの歌詞、いい言葉ですね。この言葉を肴に酒を飲みたい、そんな気分にもさせられる楽曲です。
(総評)
メジャー1stアルバムとなった今作はインディーズ時代からの楽曲も含まれていて、自分はこういうアーティストですよという自己紹介を兼ねた内容でした。話題になった「MUSIC VIDEO」は完全に映像込みなので、トラックだけだとどう聴こえるのかが課題になりますが、その作り込みはあらためて聴くとなかなか。お笑いメインかと思いきや後半2曲あえて入れたと思われるマジメな曲も良い出来、というより実はそこが一番アピールしたいところかもしれないと感じました。先日カミコベで見た時と同様、このアルバムでも引き出しの多さが大変伝わる作品だったように思います。
ただ同時にそれは完全に序章の序章に過ぎないという感想もありますね。楽しみなのはむしろここからです。ナタリーのインタビューでも彼の上昇志向の高さと頭の良さがすごく伝わってきます。おそらく3年後までには誰しもが知っている存在にまでブレイクすることになるでしょう。そのサクセスロードをリアルタイムで味わうのも、今生きている人の特権。今後の作品にもおおいに期待したいです。