May Dream(通常仕様盤) - aiko
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(楽曲レビュー)
1.何時何分
イントロ無しでアカペラに近いソロで始まる、淡いバラード調の楽曲はどこか悲しげに聴こえるラブソング。晴れている空がこれだけ切なく感じる曲も滅多にないのではないでしょうか。
2.あたしの向こう
2014年11月リリースのシングル表題曲。CX系ドラマ『素敵な選TAXI』主題歌。絶妙なメロディーも、歌詞同様に大変ドラマチックな名曲。アップテンポの楽曲ながら、お馴染みのロングトーンも毎度ですが聴きどころの一つになっています。
3.冷凍便
全体的に病み気味な歌詞、流石の一曲です。冷凍便で自宅に送られたのはあなたの凍った冷たいハート、という表現が特に秀逸。
4.もっと
今年3月リリースのシングル表題曲。TBS系ドラマ『ダメな私に恋してください』主題歌。三拍子のリズムとピアノメインの演奏で聴かせる大ヒットナンバー。
5.信号
歌詞の表現が優れているのは3.と同様ですが、この曲は音の使い方も良いですね。Aメロの入りも他にはあまりない作りで、個性があります。このアルバムを牽引する一曲。
6.夢見る隙間
2015年4月リリースのシングル表題曲。これまで作られた楽曲以上に複雑に作られたメロディーが聴く側の耳をひきます。
7.愛だけは
これぞaikoのバラード、と形容するには十二分の聴かせる楽曲。
8.好き嫌い
シンプルな歌詞で構成されたナンバー。それゆえに美しい声を堪能出来る楽曲でもあります。
9.かけらの心
恋人同士の愛をポジティブに歌った、落ち着いたバラード。ファン同士のカップルなら結婚式でもオススメできる楽曲です。
10.大切な今
9.と一体になっているかのような曲調。歌詞も時間の経過がそのまま表れている感じがしますね。
11.合図
シングル「プラマイ」カップリング収録曲。映画『先輩と彼女』主題歌。二人の距離に重点を置いた歌詞で聴かせる、これまた落ち着いたバラード。
12.プラマイ
2015年11月リリースのシングル表題曲。NHK BSプレミアムテレビドラマ『仮カレ』主題歌。ダイナミックなメロディーと、恋愛模様のプラスマイナスを描いた歌詞に聴き応えがある名曲。
13.蒼い日
アルバムのラストらしい、ゆったりとしたバラード。これまでの彼女のアルバムにもあった味、らしい作品とも言えるでしょうか。
(総評)
今作でオリジナルアルバムはもう12作目。40代になってから初のアルバムになります。かと言って奇をてらうような部分は特になく、いつものaikoらしい作品でした。構成としては前半が動的・後半が静的といったところでしょうか。歌詞の世界観もaikoが今日まで人気を得ている大きな要因ですが、後半の新曲はいつも以上に練られているような気がしました。今作のアルバムの特徴を一つあげるとしたら、経験に培われた表現と歌唱が楽しめる歌詞。それに尽きると思います。
いずれにしてもファンにとっては期待通り、そして安心できる内容のアルバム。キャリア20年近くになってくると、そちらの方に重点がいくのは当然ですね。ただやっぱり初期の『小さな丸い好日』『桜の木の下』辺りとは、同じaikoらしさでも全然違う部分が多いです。あらためて最初から聴きこんで変化を楽しむのも、aikoの音楽の楽しみ方になっているのかなと思う次第。次作も楽しみにしたいです。