醒めない(通常盤) - スピッツ
醒めない(初回限定盤)(DVD付) - スピッツ
(楽曲レビュー)
1.醒めない
エイトビートの刻みから、奏でられるキーボードの主旋律は20年前の彼らのヒット曲を思い出させる内容。歌詞は、特にサビでメンバーの強い意志を感じさせます。前作『小さな生き物』が3年前、その間に少しのブランクがあったからこそ生まれた言葉なのかもしれません。いずれにしてもこのアルバムを飾る名曲です。
2.みなと
今年4月リリースの先行シングル曲。しみじみと良い曲を感じさせる、美しいメロディーと風景が印象的。
3.子グマ!子グマ!
純粋なバンド演奏と、やや変則的なCメロに聴きごたえを感じさせるナンバー。
4.コメット
落ち着いた曲調で聴かせる楽曲。CX系ドラマ『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』主題歌。
5.ナサケモノ
そういえばかつてスピッツには「ハネモノ」というシングル曲がありました。曲調はそれとは違う、ミディアムテンポでじっくり聴かせる内容。タイトルは歌詞を見る限り”情けない獣”という意味のようです。良い歌詞です。
6.グリーン
王道J-POPの、更に王道をいくような楽曲。
7.SJ
やや暗めの雰囲気。こういう楽曲はギターやベースの音がより活きます。
8.ハチの針
この曲もタイトルは懐かしいアルバム『ハチミツ』を思い出させるような。王道の中に間奏〜Cメロでしっかりとロックらしさも表れている、内容の濃いナンバー。
9.モニャモニャ
ゆったりとしたリズムとメロディーに草野マサムネの歌声。編曲も含めて子守歌として十二分に通用する作品。
10.ガラクタ
シングル「みなと」カップリング収録曲。タイトル通りの、おもちゃ箱をひっくり返したような編曲が印象的な楽曲。リコーダーっぽい音がインパクト強いです。
11.ヒビスクス
ピアノ演奏で始まるイントロから王道の香り。SUBARUのCMソングとして採用されています。
12.ブチ
ややコミカルな歌詞と、それに合わせたような編曲が耳に残る楽曲。
13.雪風
昨年配信でリリースされた楽曲。3分8秒の演奏時間、もう少しじっくり聴きたいという所で曲が終わります。
14.こんにちは
ラストは2分20秒の短さ。あっという間です。
(総評)
一曲一曲の感想となると難しい部分もあるアルバムですが、通して聴くとやっぱり”スピッツはいてくれるだけで素晴らしい”、そういう気持ちになりますね。リアルタイムのアラサー・アラフォー、それ以上に長年ファンを続けている人。今回のアルバムは初めての人にもオススメできますが、満足度はおそらくスピッツが好きな人ほど高いものになるのではないでしょうか。王道を基調としつつも所々ロックテイストもあったり、サウンドに遊びを取り入れたり。一際目立っているのはやはり冒頭の「醒めない」「みなと」辺りで、あとは特別強い個性があるわけではありません。その分草野マサムネの声、あるいはサポートも含めた一つ一つの演奏音。まさに聴き入るにはもってこいの作品だと思います。今年は1990年代後半に大ヒットしたアーティストの活躍が例年以上に目立ちますが、このアルバムもその代表作の一つではないでしょうか。