
We love Tank-top (初回限定盤)(DVD付) - ヤバイTシャツ屋さん

We love Tank-top (通常盤・初回プレス) - ヤバイTシャツ屋さん

We love Tank-top (数量限定盤)(タンクトップ・DVD付) - ヤバイTシャツ屋さん
(楽曲レビュー)
1.We love Tank-top
オープニングから流れる音は、ロックとは程遠いファンタジー的な寸劇。”夢と魔法とタンクトップの世界”で繰り広げられるミュージカルには、ツッコミどころしか存在しません。曲中に何度タンクトップって言ってるんでしょうか。良い意味で、初っ端から大変酷い内容になっています。一連の流れが終わって、ラスト20秒でようやくバンド演奏に入ります。
2.Tank-top of the world
実質1曲目。今年7月リリースの『ポップコーンパーティー』収録曲。大変ノリの良い楽曲で気持ち良いサウンドですが、歌っている内容はタンクトップ。Tシャツ屋さんとはまるで思えない状況です。
3.あつまれ!パーティーピーポー
昨年10月リリースの『ピアノロックバンド』収録曲。言うまでもなく、この楽曲でピアノを使っている箇所は1つもありません。パリピの生態を余すところなく描いている歌詞が秀逸。確かに平日は働いていないとパーティーにも行けないですよね。歌詞だけでなくリズムの使い方も大変うまくて面白く、盛り上がるのは当然といった具合のナンバーです。
4.無線LANばり便利
Wi-Fiの便利さを高らかに歌い上げるナンバー。バンドサウンドそのものは紛れもないロックですが。確かに”ランランラランランランランラン”と流用できる点でも、無線LANは便利です。
5.DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ
昨年5月リリースのインディーズ1stアルバム『そこまでヤバくない』収録曲。タイトルの割には意外とメロディアスに聴かせるナンバー。
6.週10ですき家
コーラスの声も入らないこやまたくやのソロボーカル。叙情的。そのうちすき家の店内でエンドレスで流れる日も遠くはないのかもしれません。
7.ZIKKA
いい年の実家ぐらしのあるあるを歌っているかと思いきや、曲の中盤から出てくる騒音おばさんの例の一節に爆笑。ちなみに例の事件はもう11年前だそうです。月日が経つのは早いものですね。
8.喜志駅周辺なんもない
ご存じの通り、彼らが通う大阪芸術大学の最寄駅について歌った曲。アルバム『そこまでヤバくない』収録曲。個人的にごく最近近鉄長野線の喜志駅を通りましたが、確かに学習塾と郵便局くらいしかなかったです。しかしライブでは当たり前としても、楽曲のオリジナルにコール&レスポンスが入るというのも案外ないような気がしますね。
9.ウェイウェイ大学生
はっちゃけた大学生あるあるをそのまま歌にした曲。だいたいイメージ通り、自分が大学生の時も割とそんな感じの学生が多数でした。
10.天王寺に住んでる女の子
喜志駅周辺の光景からすれば、天王寺は夢のような場所。ただ"modern girl"と言えるような立地であるかどうかは実際…。それはともかく、この曲もちょっとしたMCが曲中に入っています。ライブだと色々内容アレンジされそうです。
11.L・O・V・E タオル
いわゆるロックバンドによくあるタオル曲ですが、”コットンナイロンポリエステル”と素材を歌う曲は初めて聴いたような気がします。ちなみにこのバンドの名前はヤバイTシャツ屋さん。冒頭2曲も含めると、なんだか軽いアパレルショップみたいなことになってます。
12.流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い
タイトル通り。なお、これを歌っている人も大概声高いです。ただ自分たちの楽器や機材の値段をハッキリと言う曲も初めてではないでしょうか。新鮮と言っていいのかは分かりませんが。
13.ネコ飼いたい
アルバム『そこまでヤバくない』収録曲。パンクロックばりの高速演奏曲と思いきや急にものすごくゆったりとしたリズムになったりと、とにかく忙しない楽曲。ただ歌詞は終始一貫”ネコ飼いたい”で徹底しています。と言うよりほとんどこの6文字の繰り返しです。ラストに至っては全員合唱で”ネコ飼いたい”の大オーラス。よくこんな曲を思いつくなぁと感心するナンバーです。
(総評)
今年5月にリリースされた岡崎体育『BASIN TECHNO』同様、この作品もインディーズ期の代表曲に新曲を混ぜ合わせたスタイル。ボーカルのこやまたくやが寿司くんとして彼のPVを撮影したりするなど、大変縁深いアーティストですが、非常に個性的な力作という点でも同様でした。
基本線はテンポの速い迫力のあるロックサウンドですが、そこに笑いの要素を多く入れる辺りが関西ならではという印象もあります。したがって普通のロックバンドよりもかなり親しみやすいサウンドに仕上がっています。全体的に感じたことは”非常に分かりやすい音楽をやっている”、その一言に尽きます。ただそれは決して浅いとかそういうことではなく、むしろ単純だからこそ面白くて何度も聴きたくなる魅力がある、そんな作品ではないかと思います。今年は本当に色々なアーティストが台頭しましたが、その旗印となる一枚であることは間違いないでしょう。CDショップ大賞でもかなりのいい線いくのではないでしょうか。そして大学生・大阪芸大生ならではの作風が今後メジャーに行くことによってどう変化を遂げるのでしょうか。意外と自らが超えるべきこの作品のハードルは高いような気がします。そういう意味でも来年の彼らがどういう曲を聴かせてくれるのか、あらためて期待したいところですね。