EXIST!(初回限定盤A)(DVD付) - [Alexandros]
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EXIST!(通常盤) - [Alexandros]
(楽曲レビュー)
1.ムーンソング
上質なバンド音に加えられるピアノの音色が非常に麗しい楽曲。月をテーマにした楽曲は名曲揃いですが、今年はこれがその代表になるでしょうか。
2.Kaiju
音の重さ、特にギターの音圧が否応にも響き渡る全編英語詞のナンバー。この手のハードロックを演奏させると、今のバンド勢なら彼らの右に出る者がいないとよく分かる作品。
3.Girl A
昨年12月リリースのシングル表題曲。有無を言わせぬ雰囲気に満ち溢れたロックサウンド。
4.Claw
数字をカウントダウンするBメロが一番インパクト強いでしょうか。狭いライブハウスを意識したような音響にもロックバンドらしい説得力を感じさせます。
5.O2
ゆったりとした演奏と歌声が、環境音楽のようにも感じさせるバラード。
6.Feel like
カジュアルブランド『GLOBAL WORK』CMソングに起用されているだけあって、ここまでの5曲と比べるとかなりポップな雰囲気のナンバー。
7.Aoyama
この曲もハードロックという感じではなく、やや落ちついたテイストのナンバー。心地良いリズムは聴き心地良いですが、歌詞は自身の内に秘めたものをかなり表出させているような内容。
8.Nawe, Nawe
シングル「Swan」カップリング収録曲。ハリウッド映画『ターザン:REBORN』日本版主題歌ですが、音は海外のそれとも互角以上に勝負できている印象があります。ストリングスの音も入れた、壮大なロックバラード。
9.Buzz Off!
一発録り録音その1。ハードロックの中に歌謡曲の影響を感じるメロディーが入ったり、2番で突然テンポを落としたりするなど変幻自在で、内容はかなり濃いです。
10.クソッタレな貴様らへ
一発録り録音その2。この曲も一つのトラックの中で雰囲気が目まぐるしく変わります。この2つは実験に実験を重ねた、アルバムならではの雰囲気を楽しめるナンバーですね。
11.Swan
先行シングル表題曲として8月に発売されたナンバー。今までのシングルと比べてもメロディアスな旋律、という印象があります。
12.I want u to love me
シングル「NEW WALL」と両A面で収録された楽曲。この作品も録音の妙をうまく心得た内容。
13.今まで君が泣いた分取り戻そう
いかにもアルバム終盤に入れるべきという印象もあるストリングスつきバラード。
14.NEW WALL
今年4月リリースのシングル表題曲。3拍子と4拍子を終始繰り返す7拍子のリズムは、商業音楽では極めて珍しい形態ではないかと思われます(他にはSMAP「Top of the world」くらいでしょうか)。この曲をもって現時点での彼らの集大成と呼べる一曲と考えていいかもしれません。勿論さらに集大成と思わせる楽曲が今後発表される可能性も十二分にあると思いますが。
15.[Secret Track]
フェイドインから入りフェイドアウトで終わる録音。このトラックも一発録りっぽいですね。
(総評)
ここ数年の活躍をこの1枚に集約させたような作品ですね。[Alexandros]が作り出すサウンドの特性から全くブレることなく様々なバリエーションを1曲ごとに見せています。そのサウンドは力強さと上手さが両立している演奏もさることながら、ピアノやストリングスの使い方にも技を感じさせる内容になっています。前作『ALXD』は私自身彼らの音楽に慣れていなかったせいもあってか、もう少し楽曲のバリエーションが欲しいという印象もありましたが、今作に関してはほとんど文句のつけどころはありません。今年のJ-ROCKを代表する名盤と言って良いのではないでしょうか。彼らほど立体的なサウンドの魅せ方が出来るバンドは滅多にいないと思います。来年以降の作品にもおおいに期待したいですね。