
おわりとはじまり(初回限定盤A) - チームしゃちほこ

おわりとはじまり(初回限定盤B) - チームしゃちほこ

おわりとはじまり(通常盤) - チームしゃちほこ
1.プロフェッショナル思春期 ☆
2.START ☆
3.完全満足NGY
4.シャンプーハット(おわりとはじまり ver.) (2014.12.10 Sg.)
5.ロードムービー
6.Chérie!(2016.4.7 Sg.)
7.天才バカボン(おわりとはじまり ver.)(2015.5.13 Sg.)
8.Kissy-麺
9.夢でもいいの
10.ワタシノユウキ
11.パレードは夜空を翔ける
12.ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL(2016.8.3 Sg.)
13.なくしもの ☆
『ひまつぶし』以来2年半ぶり、5人体制になってからは初。チームしゃちほこ・待望の2ndフルアルバム。
スターダストプロモーション所属のアイドルがアルバムを核にしているのは、ももいろクローバーZや私立恵比寿中学を聴けば明らか。このアルバムもそれに相応しい見事な名盤に仕上がっています。タイトルからして良いですよね。新生しゃちほこを示唆しているとともに、”終わり”と”尾張”をかけている時点でまず高ポイント。
楽曲も冒頭「プロフェッショナル思春期」からまず素晴らしいです。今のチームしゃちほこの決意がこの6分間に凝縮されていますね。5年間、特にこの2年半の彼女たちは色々な経験をしていますが、それがあるからこそ説得力を感じさせるナンバーです。さながらミュージカルのようですね。
「START」はBLUE ENCOUNTの田邉駿一が提供した楽曲。今一番楽曲のクオリティと熱さが同居しているバンド・ブルエンとしゃちの相性は抜群。半端ないエモさが支配している、今年を代表する名曲に仕上がっています。これまでのチームしゃちほこを振り返ってもトップクラスのナンバーと言っていいのではないでしょうか。
胸が熱くなる2曲を経て繰り出される「完全満足NGY」は名古屋全開のミクスチャーロック。「首都移転計画」、あるいは伝説の「名古屋はええよやっとかめ」(by 山本正之)路線なんですがサウンドはこの曲が圧倒的にカッコ良いです。「シャンプーハット」は川谷絵音提供の意欲作。シングル発売当時は6人でしたが、今回5人であらためて新録。弦楽器と打ち込みの音が独特のインパクトを放っています。ミディアムテンポ・素直なメロディーとしみじみと感じさせる歌詞の「ロードムービー」も弦楽器が出ているという点では同様。アイドルソングの中でも屈指のかわいさを誇る「Chérie!」、カバーやリミックスというより再構築というべき超アバンギャルドな「天才バカボン」。前半〜中盤、非常にバラエティ豊かな楽曲がラインナップされてます。
「Kissy-麺」はおそらく本邦初と思われるきしめん賛歌。デビュー当時のぶっ飛び具合がまだ十二分に残っていることに古くからのファンは安堵といったところでしょうか。直後の「夢でもいいの」「ワタシノユウキ」は単純に”良い曲”、その一言に尽きるナンバー。美しいメロディーでかわいく歌われる「夢でもいいの」、産まれてきたことへの感謝を歌う「ワタシノユウキ」、どちらもアルバム後半にはピッタリの選曲に仕上がっています。
このアルバムは後半〜終盤の盛り上がり具合が半端ないです。「パレードは夜空を翔ける」は壮大なオープニングで幕を開ける、「抱きしめてアンセム」と双肩を成すほどの熱いアンセム。その後に「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」を持ってくるのがたまらなくエモーショナル。ヘドバン上等、スターダストの中でもトップクラスの熱量を誇る楽曲は作品の終盤を締めくくるにはピッタリの選曲になっています。
今回のアルバムはどの曲も粒揃いで文句なしの名盤に仕上がっていますが、一番オススメしたいのはやはりラストを飾る「なくしもの」。フォークソング調のメロディーに一つ一つの言葉を噛みしめるように歌うメンバー、楽曲提供は高橋優。「START」を提供した田邉さんもそうですが、高橋さんにもまたアーティストとして保有している熱さとチームしゃちほこへの愛、彼女たちとの相性。曲順も曲調も「START」とは対を成していますが、心の奥底に備わっている芯は案外共通している部分が多いのではないかと、感じずにはいられない見事な名曲でした。今年の中でもかなり上位に入りそうです。
様々な楽曲が集まりやすいという面で、アイドルはシンガーソングライターやバンドよりも有利に働く部分も十分にあると私は考えていますが、このアルバムはまさしくその好例と言えると思います。豪華な楽曲提供陣とそれに見合う楽曲のクオリティ、更にパフォーマンスする側の技量と熱さ。特にチームしゃちほこは後者の”熱さ”が非常に大きな特徴になりますが、それらが見事に噛み合って良いアルバムに仕上がった、そういう印象を持ちました。2年半で様々な出来事がありましたが、それを経てすごく強いグループになったことがあらためてよく分かるアルバムになっています。勿論これまでの作品よりも数段上、更に言うとこのアルバムのタイトルは『おわりとはじまり』。彼女たちが大活躍する場はむしろここからではないでしょうか。今後の快進撃を、あらためておおいに期待したいです。