
XXL(初回生産限定盤)(DVD付) - 岡崎体育

XXL -
1.XXL
2.感情のピクセル ☆
3.Natural Lips
4.Horoscope ☆
5.まわせPDCAサイクル
6.電車で聴くと映画の主人公になれる曲 (Interlude)
7.Open
8.観察日記
9.Snack(2014 Al.『DESKTOP』)
10.鴨川等間隔(2013 Al.『FICTIONAL ZODIAC』) ☆
11.式
岡崎体育のメジャー2ndアルバム。昨年の『BASIN TECHNO』、および収録曲「MUSIC VIDEO」は大変な反響を呼びました。今回もそれに勝るとも劣らない、いや楽曲も話題性もバージョンアップ。かなりの力作に仕上がっています。
今回のアルバムは実質2部構成。真ん中を境に前半はユニークエリア、後半はマジメなエリア。まずは「XXL」、これはカッコ良いラップミュージック。歌詞は自らの生きざまをそのまま言葉にしているかのような。続く「感情のピクセル」「Natural Lips」はYoutubeの先行公開の時点で大きな話題を呼んだ曲。前者はハードロックとほのぼのした歌詞のギャップ、後者は日本語を無駄に英語っぽく聴かせる逆空耳。ただ「感情のピクセル」の歌詞はよく読むと、仲間外れになるワニさんを中心に妙なメッセージ性を感じさせる部分もあります。単なるウケ狙いに留まらない、クリエーター・ミュージシャンとしての岡崎体育の凄さを感じさせる楽曲であるのは疑いようのないところ。
「Horoscope」も前者2曲に負けないほどクセがあります。星座占いをそのまま曲にした内容ですが、ほのぼのした口調の中に毒と皮肉と適当さが満載。”模造紙””キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル”、言葉のチョイスのセンスも凄まじいです。一つ一つの星座に対する言及だけでなく、ラストの狂ったようなミックスも聴きどころ。流石の一曲です。
「まわせPDCAサイクル」は作った本人が”テレビ見ながら作りました”と発言している楽曲。確かにその分?かなり素直なメロディーに仕上がっています。歌詞はずばり社畜をテーマにした内容。あとサビはライブハウスだと間違いなくサークル起きますね。言葉と裏腹に、本人の狙いはかなりハッキリしているナンバーではないでしょうか。
インスト曲「電車で聴くと映画の主人公になれる曲」は読んで字の如く。綺麗な女優が雨の夜景を眺めている、というシチュエーションにピッタリ。実際各所で流用されることも多くなるのではないでしょうか。というわけでインストを挟んで後半のスタートは「Open」。以前からライブ、フェスのオープニングで演奏されているトラックですね。
「観察日記」はノーマルに聴かせる楽曲。ライブでは歌ヘタと毎回自らネタにしている彼ですが、言葉の明瞭さという意味で考えるとかなり上手な印象が個人的にあります。曲後半のラップ詞は意味があるようでないような、というテイストでありますが、メロディー部分はかなり綺麗に丁寧に作られた一曲ではないでしょうか。
「Snack」「鴨川等間隔」はインディーズ期の楽曲に再録。「Snack」はラップのメロディー中心に聴かせる楽曲、J-POPの要素もありつつ向こうの音楽の雰囲気に近いです。音がJ-POP的でないからこそ、日本語の歌詞がより耳に入るような。「鴨川等間隔」は以前からの人気曲。メロディーも歌詞も、素朴な雰囲気がものすごく良いです。
ラストの「式」もまたシンプルに聴かせるバラード。鋭い考察で描かれる歌詞表現が特に素晴らしいです。”保育園で汚い言葉を…”のくだりが特に秀逸。「Horoscope」なんかの後に聴くと、本当に同じ人が作っているのだろうか?という気持ちにもなります。PVもノーカットで日常を描いたような内容で、大変シンプル。凝ってないことが逆に素晴らしいと感じさせるマジック。本当に良い曲です。
構成も分かりやすく、楽曲の肝も分かりやすく。非常に聴きやすいアルバムに仕上がっています。だからと言って世界観が浅いわけでは決してなく、むしろ何度も聴くことで新たに感じ入ることが多い歌詞にもなっています。10万枚のセールスはさすがに厳しいようですが、オリコンでは週間2位に入りました。実際、売れるべくして売れる作品だと思います。さて次のアルバムはどういう内容になるでしょうか。今から楽しみです。個人的にはそろそろインディーズ時代の再録なしでのアルバムも聴いてみたいです。マジメな歌詞の楽曲は今のところ2作続けて再録がやや目立ちますので…。