2017年11月23日

赤い公園『熱唱サマー』(2017.8.23)

熱唱サマー(初回限定盤)(DVD付) - 赤い公園
熱唱サマー(初回限定盤)(DVD付) - 赤い公園

熱唱サマー(通常盤) - 赤い公園
熱唱サマー(通常盤) - 赤い公園

1.カメレオン ☆
2.闇夜に提灯(2017.2.15 Sg.)
3.AUN
4.最後の花 ☆
5.ジョーカー
6.プラチナ
7.恋と嘘(2017.4.21 Sg.)
8.セミロング
9.BEAR
10.ほら
11.journey(2017.6.21 Sg.) ☆
12.勇敢なこども


 実力派ガールズバンド・赤い公園が1年半ぶりに放つ4thオリジナルアルバム。

 今作を最後にボーカル・佐藤千明が脱退。それと関連があるのかどうかは分かりませんが、前作『純情ランドセル』やその前の『猛烈リトミック』以上にサウンドがスパークしている作品になっている印象でした。

 『猛烈リトミック』の「NOW ON AIR」「絶対的な関係」で入る冒頭は今思い出しても強烈ですが、今作の「カメレオン」「闇夜に提灯」もそれに勝るとも劣らないロケットスタート。ドラムソロから管楽器が加わる「カメレオン」のイントロはとにかく派手。抜群のインパクトで確実にライブでも盛り上がるキラーチューンとして作用しています。バンドサウンドに和の要素を入れたような「闇夜に提灯」、電子音サウンドが文字通り光っている「AUN」も名曲。続く「最後の花」は現体制ラストだからこそより切なさを感じさせるナンバー。アルバムのラストでなくあえて4曲目に持っていく所がこの作品の面白さの一つでもあると思うわけですが、どうでしょうか。

 「ジョーカー」「プラチナ」はサウンドがあまり派手でない分、歌詞で聴かせる楽曲。単純な言葉だけでなく歌いまわし含めて素晴らしい内容なだけに、ボーカルが抜けてからどうなるのか余計心配になってしまう部分もあったり…。ファンシーな雰囲気も若干入った「恋と嘘」はシングル曲。女性ならではの恋の形をうまく表現した、これまた良曲に仕上がっています。

 「セミロング」は穏やかなポップソング。「BEAR」はピアノ主体としたバラード。冒頭からここまで徐々にサウンドが落ち着いていく作品も珍しくて、面白いです。ただ「BEAR」の中盤以降から少しずつ音が増えてきて、賑やかになってきます。そこからラストスパート、「ほら」「jounery」に続く流れも良いですね。「ほら」は津野米咲が高校の時に組んでいたバンドで歌っていた曲で、作詞のクレジットにある後藤麻由はその時のボーカルなんだとか。大人になってあらためて、更に言うと高校とは違う形の別れが発生する中で選曲されるという事実もまた格別。そこから最後の力を振り絞るように佐藤千明が絶唱する「journey」。言葉や理屈で語ることの出来ない歌声に、ただただ感動させられます。ラストの「勇敢な子ども」は津野米咲・藤本ひかり・歌川菜穂の3人ボーカルから佐藤ソロに移る構成。さながら、ここまでの赤い公園の歴史の集大成を感じさせる一曲に仕上がっています。

 文句なしに今年を代表する名盤であるとともに、もう今後この4人が揃ってステージに立つことがないという悲しさ。楽曲自体は津野米咲がいる以上どうとでもなりますが、果たしてボーカルはどうするのでしょうか…。ただとにもかくにも4人時代の赤い公園の集大成・素晴らしい内容に仕上がっています。楽曲の良さも歌声の良さも間違いないので、是非もっと多くの人に聴いて欲しいです。





posted by Kersee at 21:54| Comment(0) | アルバムレビュー(J-ROCK) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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