
がらくた (通常盤) - 桑田佳祐

がらくた (初回生産限定盤A) - 桑田佳祐

がらくた (初回生産限定盤B) - 桑田佳祐
1.過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)
2.若い広場 ☆
3.大河の一滴(2016.6.29 Sg.) ☆
4.簪/かんざし
5.愛のプレリュード(2016.6.29 Sg.)
6.愛のささくれ〜Nobody loves me
7.君への手紙(2016.11.23 Sg.)
8.サイテーのワル
9.百万本の赤い薔薇(2016.6.29 Sg.)
10.ほととぎす[杜鵑草]
11.オアシスと果樹園 ☆
12.ヨシ子さん(2016.6.29 Sg.)
13.Yin Yang(2013.3.13 Sg.)
14.あなたの夢を見ています(2016.11.23 Sg.)
15.春まだ遠く
ソロデビュー30周年を飾るオリジナルアルバム、リリースは『MUSICMAN』以来6年半ぶり通算5枚目。
音楽ファンでなくとも、日本に住んでいたら確実に耳にする歌声である桑田佳祐。歌詞や言動にハラハラさせられることはあるかもしれませんが、やっぱり彼の歌声を聴くと安心します。何と言いますか、”日本に桑田佳祐ここにあり”というキャッチフレーズがすごくしっくりくるような。今作はまさしくそんなアルバムに仕上がっているような気がしました。
冒頭「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」から桑田節全開。”いなせなロックンロール”から”今ではONE OK ROCK”に至る1番サビ前の歌詞が見事。それと同時に、60歳を超えた桑田さんの今現在のパーソナルが最も表れている楽曲ではないかという感想も持ちました。そこからNHK連続テレビ小説『ひよっこ』主題歌「若い広場」、UCCのBLACK無糖CMソング「大河の一滴」とお茶の間に広く親しまれている2曲を持ってくるのも流石。「若い広場」はドラマの時代背景同様、1960年代中盤を思わせるタイトルと雰囲気が抜群にハマっています。今年全体を見渡しても、間違いなく上位に入る名曲でしょう。
「簪/かんざし」から「愛のプレリュード」「愛のささくれ〜Nobody Loves Me」に至る流れはラブソングゾーン。ピアノ演奏メインの渋いバラードから純情を感じさせる明るいポップ曲、そこからドロドロしたブルースへ続く3曲には、同じ”愛”という言葉でも様々の種類があると感心させられます。長く第一線で活躍しているので当然ではあるのですが、桑田さんが作る楽曲のバリエーションの多さにあらためて感服。
映画『金メダル男』主題歌「君への手紙」も聴かせる名バラード。「サイテーのワル」は桑田さんのアルバムの楽しみの一つでもある社会風刺曲。彼自身もネットで実際あることないこと書かれているので、説得力もかなりのものがあります。
上質な王道J-POP「百万本の赤い薔薇」、聴かせるバラード「ほととぎす[杜鵑草]」を経て「オアシスと果樹園」も名曲。JTBのCMで使われているこの曲はPVも作られています。既発シングル「ヨシ子さん」「Yin Yang」を経て、「あなたの夢を見ています」は終盤にふさわしい穏やかなポップス。ラストの「春まだ遠く」はまさしくそれらしい、美しいストリングスバラード。アルバムの締めに相応しいナンバーに仕上がっています。
今作のキャッチフレーズには”ポップスの臨界点を超えた”とありますが、文句なしにそれに相応しい作品でした。6年ぶり・既発曲多めなのでより聴きやすいという面もありますが、「過ぎ去りし日々」「若い広場」「オアシスと果樹園」「春まだ遠く」辺りだけでも十二分に繰り返し聴く価値のあるアルバムではないでしょうか。40年近く、ずっと第一線でメインターゲットも関係なく広く支持されている人はやっぱり格が違いますね。60歳過ぎても衰えは全くないどころか、むしろ円熟味が増してパワーアップしている気がしました。さすがに毒気は25年くらい前と比べると多少落ち着いてはいますが、それでも「ヨシ子さん」「サイテーのワル」は相対的に見てもまだまだトップクラス。サザンオールスターズ含めて、来年以降の楽曲もまだまだ期待できそうです。