2017年12月01日

山本 彩『identity』(2017.10.4)

identity(初回限定盤DVD付) - 山本彩
identity(初回限定盤DVD付) - 山本彩

identity(通常盤) - 山本彩
identity(通常盤) - 山本彩

1.JOKER ☆
2.Wings
3.夢の声
4.Let's go crazy
5.ゆびきり
6.サードマン
7.どうしてどうして
8.愛せよ ☆
9.何度でも
10.喝采
11.陸の魚
12.春はもうすぐ
13.蛍 ☆


 昨年の『Rainbow』に続く、NMB48所属・山本彩の亀田誠治プロデュース2ndアルバム。

 前作は時間的都合もあって当ブログでレビュー出来なかったのですが、今作は早めに。豪華な作曲陣が提供しているのは前作もそうですが、今回は更に錚々たる顔ぶれになっています。それプラス自作の曲が約半数を占めるという、バランスの良い構成。

 リードナンバーの「JOKER」は自作曲ですが、ストリングスの入る編曲は亀田さんらしいテイスト。ただ王道がゆえにさや姉の歌の上手さがより伝わる作品でもありますね。背伸びせず自然な歌詞と音域にも大変好感が持てます。名曲と言って差し支えないのではないでしょうか。

 「Wings」はCarlos K.の提供、「夢の声」はヒロイズムの提供(どちらも亀田さんと共作)。前者はトラックのクールさ、後者は歌声の伸びを意識して作られた楽曲に聴こえました。「Let's go crazy」から続く4曲は全て自作曲。ノリ良いロックンロールの中にちょっとした知的さを感じさせるのが微笑ましい「Let's go crazy」、童謡のようなほのぼのしたトラックで約束をテーマにした歌詞を歌う「ゆびきり」、王道バラード「サードマン」、別れをテーマにした「どうしてどうして」といった具合。いずれも確実に一定以上のクオリティ、良い内容に仕上がっています。

 「愛せよ」は没後10周年・生前に阿久悠が残した歌詞にいきものがかりの水野良樹がメロディーを描いた内容。男女の恋愛に留まらない、非常にスケールの大きな愛を描いた歌詞を見事に活かした楽曲になっています。ものすごくじっくり時間をかけて作ったことがよく分かるメロディーに乗せられるさや姉のボーカルも、丁寧かつ気持ちもしっかり入っていて秀逸。ソロシンガー・山本彩ならではの楽曲に見事に仕上がっていますね。

 ドリカムの「何度でも」カバーを経て、[喝采」もカバー…ではなく阿部真央との共演作。一応編曲はこの曲も亀田さんですが、最大限に阿部真央の要素が入ったアレンジに仕上がっています。ロックですね。続く「陸の魚」は自作曲、浮遊感のあるバラード。水野良樹らしい長尺バラード「春はもうすぐ」を経て、ラストの「蛍」は自作ポップナンバー。ノリの良いトラックに含まれている、蛍の風流さ・儚さ。これが非常に上手く歌詞と歌声に表出されています。ラストらしさと同時に、そのままアルバム冒頭「JOKER」にうまく繋げる役割も担っているような印象もありますね。いずれにしても、アルバムのラストを飾るには非常に上出来と言って良い楽曲ではないでしょうか。

 NMB48・AKB48としてではなく、シンガーソングライター・山本彩の色がはっきり出ているアルバムですね。もっともこれは前作も同様だったかと思いますが、個人的には真ん中の「愛せよ」でよりそれが鮮明になっているように感じました。シングル曲がないこともあって、あまり派手さはありませんが、そういう部分もさや姉らしい気がして少し微笑ましくなります。彼女の歌唱力の高さ・人間力の素晴らしさは既に業界だけでなく世間にも広く知られているかと思いますが、それがふんだんに出ている作品と言えるのではないでしょうか。亀田さんプロデュースなので、聴きやすいとともに手堅い部分が目立つのはリスナーによって多少好みは分かれるかもしれません。ただ48グループと比べるとそれが良いギャップになっているようにも感じます。歌手としては間違いなく自作曲も良い仕上がりになっているので、今作は特に女性J-POPソロシンガー中心で聴く人に是非おススメしたいです。


posted by Kersee at 15:54| Comment(0) | アルバムレビュー(アイドル) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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