
NAMiDA - KANA-BOON

NAMiDA(完全生産限定盤)(CD+グッズ) - KANA-BOON
1.ディストラクションビートミュージック
2.人間砂漠
3.Fighter(2017.3.1 Sg.) ☆
4.way back no way back
5.バイバイハロー ☆
6.涙
7.Wake up(2016.10.5 Sg.)
8.Ride on Natsu
9.ラストナンバー
10.バトンロード(2017.7.12 Sg.) ☆
11.一番星
12.それでも僕らは願っているよ
通算4枚目となる、KANA-BOONのフルアルバム。
前作『Fighter』をレビュー出来なかったので、当ブログでKANA-BOONのアルバムについて書くのは『TIME』以来約2年半ぶり。むろんその間彼らの音楽を聴いていなかったわけではないのですが、正直出てきた当時と変わったな…という印象でした。それは必ずしもプラスばかりだとは個人的に思えなかった部分もありますが、今回のアルバムを聴いてそれは誤りだったのかもしれないと結論。KANA-BOONらしい小気味良さに新しい調味料が加わったような、進化を感じさせるアルバムに仕上がっています。
冒頭3曲はまさしくイメージ通りのKANA-BOONサウンド。「ディストラクションビートミュージック」はそのまま「タイムアウト」のイメージに近く、「人間砂漠」もちょっとしたロック性のダークさはありつつもビートのリズムがまだ勝っています。ただ前者の割合が少しずつ増していくのが次の「Fighter」。苦悩という単語が歌詞にもズバリ入っていますが、そこからの開放をテーマにした内容は非常に秀逸。「フルドライブ」「ないものねだり」他とはまた違うタイプながらも、KANA-BOONらしさは不思議と共通。今年を代表するJ-ROCKの名曲と言って差し支えないのではないでしょうか。
メロディーと演奏が高次元で交わる「way back no way back」、前向きな別れの曲「バイバイハロー」「涙」も秀曲。旋律の良さもそうですが、歌声・情感の良さも際立っていますね。要するにバンドだけでなく、歌い手としても非常に優れているということです。広い意味での目覚めを歌った「Wake Up」も素晴らしいです。分かりやすいというよりも”明快”、この単語が非常に似合う楽曲群。
「Ride on Natsu」はディスコサウンドを意識したようなナンバー。"Summer"ではなく"Natsu"と表記した理由がよく分かる暑苦しさに微笑ましくなります。「ラストナンバー」も前曲の流れを引き継いでいるでしょうか。サンバっぽい部分もありますが、これは初期とも少し前とも違うKANA-BOONの新機軸。今作ならではの聴きどころと言えそうです。そして直近のシングル曲「バトンロード」。言うことなしの素晴らしい歌詞ですね。アルバム後半に置くことが余計に曲の良さが際立っているような気がします。「一番星」「それでも僕らは願っているよ」も締めらしいナンバー。こう考えると今作は、非常に起承転結がハッキリしているアルバムです。
とにかく大変爽快で、聴いていて気持ち良い作品でした。それでいて浅さを感じさせる部分も全くなく、経験に培われたことで表現できたと推測出来る場面も多かったです。今年も最終的には20枚近くJ-ROCKのアルバムをレビューする形になるかと思いますが、その中でもトップクラスの作品と言い切って良いのではないでしょうか。J-ROCK好きは当然として、ここ2年くらいKANA-BOONを聴いていない人にも強くオススメしたい名作です。