2017年12月13日

スカート『20/20』(2017.10.18)

20/20(トゥエンティトゥエンティ) - スカート
20/20(トゥエンティトゥエンティ) - スカート

1.離れて暮らす二人のために ☆
2.視界良好 ☆
3.パラシュート
4.手の鳴る方へ急げ
5.オータムリーヴス
6.わたしのまち
7.さよなら!さよなら! ☆
8.私の好きな青
9.ランプトン
10.魔女
11.静かな夜がいい(2016.11.23 Sg.)


 澤部渡のソロプロジェクト・スカートの記念すべきメジャー1stアルバム。

 今作でスカートはメジャーデビューしますが、音楽好きの間では既に知名度・評価ともに高いアーティストとして知られています。参加作品の顔ぶれとしては川本真琴・ぱいぱいでか美・Negiccoなど。今年はNegiccoのKaedeや藤井隆に楽曲提供しています。個人的にも今年10月のNegiFESでステージを拝見しましたが、演奏・楽曲・歌唱ともに既に一流の域に十分達しているパフォーマンス。腰の低い人柄の良さも大変印象的でした。

 ラインナップ、「離れて暮らす二人のために」は井の頭公園が舞台になった映画『PARKS』挿入歌。アコースティックに聴かせるバラードは、まさしく都会のオアシスという言葉がピッタリでしょうか。続く「視界良好」はPVも作られているリードナンバー。確かな演奏に裏打ちされたシティポップはとても爽やか。都会から地方へのドライブは道が進むにつれて景色が開かれていきますが、その光景がまさにしっくりくる楽曲ですね。非常に心地良い、今年を代表する名曲に仕上がっています。

 シンプルなJ-POP「パラシュート」、少しスピッツっぽい「手の鳴る方へ急げ」と続きます。そういえば澤部さんは昨年発売されたシングル「みなと」に口笛で参加していました。続く「オータムリーヴス」はどことなく懐かしい雰囲気、こちらは往年のチューリップのような感じでしょうか。「わたしのまち」は更に遡ってはっぴいえんど風、この辺りは意識して影響を受けたミュージシャンらしく仕上げているのかもしれません。朴訥な個性を持つ澤部さんだから余計に合っている部分もありそうです。

 「さよなら!さよなら!」は明るい別れの曲。上品な小気味良さはPIZZICATO FIVEの小西康陽に近いでしょうか。サビに入る直前のアクセントになっている音はリスペクトも感じるくらいですが、楽曲そのものはピチカートだとあまり聴けないタイプ。そこが非常に面白いです。「私の好きな青」を経て、「ランプトン」は『山田孝之のカンヌ映画祭』EDテーマ。聴かせるバラード「魔女」は活動初期から演奏されている楽曲の初収録。ラスト「静かな夜がいい」は昨年11月発売のシングル曲。渋いオトナなカッコ良さを、特にギターをはじめとする編曲からおおいに感じさせる楽曲です。

 どの曲もどこかで聴いたことあるような、だからこそ親しみがあって馴染みやすい音楽でもあり。全11曲、演奏時間も3分前後が主体で非常に聴きやすいアルバムに仕上がっています。1990年代、もしくはそれ以前のニューミュージックをバージョンアップさせて2017年に持ってきたという印象もあるでしょうか。ですので、20代の若者よりもアラフォーアラフィフ世代くらいの方が響く部分多いかもしれません。流行という観点から見ると決して派手ではありませんが、その分演奏など中身は上質。音楽好きにこそ聴いて欲しいアルバム、皆さんにも是非オススメしたい作品です。




posted by Kersee at 23:02| Comment(0) | アルバムレビュー(男性J-POP) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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