2017年12月15日

CHAI『PINK』(2017.10.25)

PINK※CDのみ - CHAI
PINK※CDのみ - CHAI

PINK※CD+コンプレックス図鑑(豪華ブックレット) - CHAI
PINK※CD+コンプレックス図鑑(豪華ブックレット) - CHAI

1.ハイハイあかちゃん
2.N.E.O. ☆
3.ボーイズ・セコ・メン(2017.4.26 Al.『ほめごろシリーズ』) ☆
4.ほれちゃった
5.フライド
6.あのコはキティ
7.ぎゃらんぶー ☆
8.かわいいひと
9.ウォーキング・スター
10.sayonara complex(2017.4.26 Al.『ほめごろシリーズ』)
11.フラットガール


 一気に2017年最注目のガールズバンドになりつつある、CHAI初のオリジナルアルバム。

 このバンドは完全に今年10月のNEGiFESで知った形ですが、あまりの面白さと引き出しの多いステージに大変驚嘆させられました。双子のツインボーカルもさることながら、遊び心満点の演奏と楽曲は過去に例のない新鮮さ。下半期トップクラスに楽しみなアルバムでしたが、その期待に応えた名盤になっています。

 ラップミュージックからスタート。タイトルは「ハイハイあかちゃん」、歌詞もその如く。ヒップホップでこれを表現するのがまずあり得ないですし、所々にフェイクも入ったりでいきなり極めて個性的な作品になっています。2曲目はPVも作られている「N.E.O.」、これが凄まじい名曲。CHAIが標榜している”NEOかわいいバンド”を体現している楽曲は、全てのネガティブやコンプレックスをポジティブに置き換えた内容。クセになる高音は小気味よく、中盤の低音はものすごくグルーヴィー。サウンドには何一つ無駄がありません。先輩バンドでいうと、SHISHAMOなら「君と夏フェス」でチャットモンチーなら「シャングリラ」にあたる曲でしょうか。つまり言うと活動期間中はずっとド定番・初めて聴いた人はその凄さに間違いなく驚くであろうナンバー。年明けには当ブログで例年通り2017年Best Tracks 100を作る予定ですが、相当上位にランクインする形になると思われます。

 ”カッコ良い男は大体セコい”という偏見のもと作られた「ボーイズ・セコ・メン」。ユニークな歌詞で歌パートはかわいいですが、音はコアなバンドサウンド。そこだけを切り取ると、セコい男より断然こちらの方がカッコ良いと感じてしまいます。あまりにも濃い3曲が続いたので、その後の「ほれちゃった」で少しひと息。メロディーとコーラスワークで聴かせるラブソングですが、2番のAメロを1番と思いっきり変えてる辺りがやはり非凡。キーボードの音も良い味出してます。

 「フライド」もキーボードの色濃く、またベースラインもクッキリ。若干リミックス感のある楽曲ですがメロディーはハッキリ。ユニークなキャラクター含めて、Yellow Magic Orchestraと近い部分もあるような。「あのコはキティ」もまたすごい歌詞で、楽曲もそうですが猫と女をまとめて”キティ”と表現したタイトルセンスが抜群。かなり好き勝手にやっているようにも聴こえる編曲ですが、だからこそすごく楽しいですね。飽きがきません。

 ”シャッ”と冒頭に擬音が目立つ曲に続いては”ぶー”という歌い出し・「ぎゃらんぶー」。完全に自由を通り越した、限りなく無法地帯に近い楽曲になっています。これを一曲として表現できるのは常人の発想を超えていますね。作れないというより、普通作らないというナンバーでもあるでしょうか。「かわいいひと」は1分40秒のキーボード弾き語り小曲。

 「ウォーキング・スター」は比較的王道に聴かせるポップス。ノーマルですが、アルバムの中だとこれはこれで際立った存在感。「sayonara complex」もミクスチャーでありながらメロディアスと感じさせる楽曲。ある意味「N.E.O.」と共通していて、かつ表裏一体となっている作品でもあるでしょうか。ラストは「フラットガール」。パーフェクトでない方が素晴らしいことを歌うバラード、このアルバム全体で伝えていることをあらためて聴かせるナンバーです。

 言葉を通して伝えたいことが非常に分かりやすい反面、トラックは大変複雑かつ作り込まれていて、それでいて底抜けの自由さを感じさせる。こういう音楽は表現したくてもそうそう出来ないと思うのですが、CHAIはそれが出来る数少ないバンドですね。まさしく天から才能が舞い降りてきた、と言っても過言ではないかもしれません。1stフルアルバムでこのクオリティー、来年以降はどうなるのでしょうか。ものすごく楽しみです。次代のネクストブレイク候補として、必ずチェックして欲しいアルバムです…!





posted by Kersee at 12:36| Comment(0) | アルバムレビュー(J-ROCK) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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