
LOVE it(初回生産限定盤)(DVD付) - 西野 カナ

LOVE it(通常盤) - 西野 カナ
1.*Prologue*〜Humming〜
2.パッ(2017.5.3 Sg.) ☆
3.We're the miracles
4.Girls(2017.7.26 Sg.)
5.Happy Time ☆
6.Best Friends Forever
7.Dear Bride(2016.10.26 Sg.) ☆
8.君が好き Rearrange Ver.(2016.10.26 Sg.)
9.Liar
10.MEOW
11.スマホ
12.One More Time(2017.10.18 Sg.)
13.手をつなぐ理由(2017.10.18 Sg.)
14.LOVE
15.*Epilogue*〜LOVE it〜
もう完全に2010年代トップの歌姫と断言して良いでしょうか。西野カナ通算7枚目のオリジナルアルバム。
前作『Just LOVE』は文句なしの傑作でした。国民的ヒット曲「トリセツ」、レコード大賞受賞曲「あなたの好きなところ」、選抜高校野球の行進曲「もしも運命の人がいるのなら」、めざましテレビというタイアップが完璧にはまった「Have a nice day」…といった具合。さすがにここまで凄いアルバムが出ると次の展開は難しくなりますが、どうでしょうか。早速見てみましょう。
フリースタイルのちょっとしたプロローグ「*Prologue*〜Humming〜」からスタート。早速のシングル表題曲「パッ」はタイトルからしてインパクト絶大。自分に対する応援歌を明るく爽やかに歌う様が痛快、聴いてるこちらも気持ち良くなります。その後は「We're the miracles」とシングル曲「Girls」。海外を意識したような音が続きます。「Girls」の英語詞が占める割合はシングル曲だと過去最高レベルに高いのではないでしょうか。
「Happy Time」はタイトル通りの幸せソング。サビで連呼されるHappy Time、歌詞で登場する回数は実に46回。一歩間違えると洗脳されそうな勢いです。「Best Friends Forever」は7年前の自身のヒット曲を意識したようなタイトル。バラードではなく、明るくファンシーな曲調なのが耳に残ります。女同士の友情物語から一転、結婚に発展するウエディングバラード「Dear Bride」、前作アルバム収録曲をリアレンジして再録した「君が好き Rearrange Ver.」。この2曲が前半の締めという役割、レコードでいうとここまでがA面といったところ。
後半「Liar」でまた曲調がガラリと変わります。ジャズを基調としたアダルティーな雰囲気、この曲もまた英語詞の割合かなり高め。「MEOW」もアダルティー、猫と女性を意識した楽曲。その内容は、女性にしか間違いなく書けないような歌詞。女性歌手に男性が歌詞提供する例は多々ありますが、こういうのは書きたくてもためらうのではないかと感じます。「スマホ」はタイトルの割にトラック重視、歌詞はもはや日本語より英語の方が多いです。「One More Time」と「手をつなぐ理由」はともに10月発売のシングルに収録されている楽曲。打ち込みメインの前者と、ピアノ+弦楽器の生音メインの後者で対を成している形ですね。ラストは「LOVE」、全てをまとめ上げるような締めの曲。勿論エピローグ、「*Epilogue* 〜LOVE it〜」は今回も健在。
今作はかなり思い切ったアルバムという印象です。特に「Liar」から「スマホ」辺りは今までになくアダルティーな曲調で、歌詞もこれまで以上にインパクトを強調して押してます。ですのでわかりやすいことはわかりやすいですが、正直前作と比べると好みはかなり分かれるのではないかと感じました。「Dear Bride」「パッ」はともかく、「Girls」「手をつなぐ理由」といった直近のシングルはセールスもそうですが、歌詞検索でも今までと比べてアクセス数が伸びていないのが気になります。「君が好き」のリアレンジをわざわざこのアルバムに入れる辺り、ここまでの順風満帆な道のりから少し紆余曲折に入りつつある暗示にも見えます。英語詞の割合が高いのも気になりますね。これまでも英語が多くを占める楽曲もそれなりにあったはずですが、今作は特にそれが顕著に思えて仕方なかったです。
今年で8年連続紅白歌合戦出場は素晴らしい記録ですが、逆に言うと9年連続はなかなかいないわけです。倖田來未や平原綾香も8年で止まりましたし、いきものがかりも9回目出場がちょうど放牧直前。レコード大賞は受賞そのものがピークの証である以上、どうしても受賞後はほとんどの場合下り坂になってしまう面がありますね。さて西野カナの場合はどうなるのでしょうか。ここからが踏ん張りどころであり、あるいは一番面白くなるところ。ひとまずは来年以降の楽曲も楽しみにしたいです。