2017年12月25日

米津玄師『BOOTLEG』(2017.11.1)

BOOTLEG - 米津 玄師
BOOTLEG - 米津 玄師

BOOTLEG(映像盤 初回限定)(DVD付き) - 米津 玄師
BOOTLEG(映像盤 初回限定)(DVD付き) - 米津 玄師

1.飛燕
2.LOSER(2016.9.28 Sg.)
3.ピースサイン(2017.6.21 Sg.)
4.砂の惑星(+初音ミク)
5.orion(2017.2.15 Sg.)
6.かいじゅうのマーチ
7.Moonlight ☆
8.春雷
9.fogbound(+池田エライザ)
10.ナンバーナイン(2016.9.28 Sg.)
11.爱丽丝
12.Nighthawks
13.打上花火 ☆
14.灰色と青(+菅田将暉) ☆


 ヒット曲連発、2017年の音楽シーンにおける顔の一人と言って良いでしょう。米津玄師通算4枚目となるフルアルバムは、ユニバーサルからソニーに移籍して初のアルバムとなります。

 ギターの音が目立つ「飛燕」からスタート。メロディー・歌詞双方に備わっているストーリー性が見事。自信を感じさせる新曲をアルバムの最初に持ってきた、という捉え方も出来ます。シングル曲「LOSER」「ピースサイン」はいまや代表曲、高値安定。彼のほとんどの曲で共通していますが、何度も聴くことでその良さがより心にしみわたります。「砂の惑星」は米津玄師というより歌い手・ハチの曲という方が適当でしょうか。ある意味セルフカバーと言っても良いのかもしれません。「orion」まで、前半はシングル表題曲を中心に聞き馴染みあるナンバーが中心のラインナップ。

 今作が面白くなるのは新曲がメインとなる中盤から。ピースフルかつ壮大なバラード「かいじゅうのマーチ」、シティポップとR&Bを融合させたような「Moonlight」、クールな雰囲気と明るさが両立している中に季節感も味わえる「春雷」、モデル・池田エライザをゲストボーカルに迎えた気怠い雰囲気の「fogbound」…という具合。かなりの振り幅の広さを見せていますが、その全てが彼らしいと感じさせるのが凄いところ。制作活動において興味を持った箇所があればふんだんに取り入れるという印象もあって、聴いていて迷いを感じさせません。

 「ナンバーナイン」は昨年のシングル曲、打ち込み音が大変心地良いです。「爱丽丝」はアリスと読む楽曲。儚さを感じさせるメロディーと、前曲との対比も感じさせる生音アレンジがまた秀逸。疾走感がありつつも決してそれだけではない「Nighthawks」を経て、2017年を代表する大ヒット曲「打上花火」のセルフカバー。季節感・テーマ・メロディー・歌詞全てが一体となって調和しています。大ヒットしたのはDAOKOとのデュエットですが、個人的にはこのアルバムのVer.の方がしっくりきます。説得力があると言いますか、彼自らがこの曲と同じような経験をしているように聴いていて思えるからでしょうか…。ラストは俳優・菅田将暉とのコラボ曲「灰色と青」。日々の風景から見える自分の景色が徐々に広がっていくことを、歌詞だけでなくサウンドでも表現しているような聴かせるバラード。菅田さんのボーカルは、個人的には今年出たソロよりもはるかに優れていて聴き応えある内容になっている気がします。

 同人系音楽でもあり、シティポップでもあり。ですが実際にはどちらのジャンルにも全く縛られない音楽ですね。一曲一曲のクオリティー自体の高さもそうですが、編曲という味つけの仕方が今作は特に優れています。加えて抜群のメロディーセンス。あらためてじっくり聴くと、こんなにマイナー調の音の使い方が上手いとは思わなかったです。これまでのアルバムと比べると、今回は特に粒揃いの楽曲が並んでるような気がしますね。どの曲も単体で楽しめる、勿論アルバムで全編再生しても楽しめる。間違いなく2017年を代表するアルバムです。CDショップ大賞でも相当数の票を集めるのではないでしょうか…。




posted by Kersee at 08:00| Comment(0) | アルバムレビュー(男性J-POP) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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