
H.O.T(通常盤) - Nulbarich

H.O.T(初回限定盤) - Nulbarich
1.H.O.T
2.It's Who We Are(2017.5.24 EP「Who We Are」) ☆
3.Almost There ☆
4.Zero Gravity
5.Handcuffed
6.In Your Pocket(2017.12.6 EP「Long Long Time Ago」)
7.See You Later
8.Supernova
9.ain't on the map yet ☆
10.Follow Me(2017.5.24 EP「Who We Are」)
11.Spellbound(2017.12.6 EP「Long Long Time Ago」)
12.Construction
13.Heart Like a Pool
2018年最注目のバンド・Nulbarichの2ndオリジナルアルバム。
クラブミュージックに浮遊感を混ぜたようなインスト「H.O.T」からスタート。歌入りの曲で最初に収録されているのは、昨年音楽ファンの間で話題になったEP「Who We Are」より「It's Who We Are」。ビルボードチャート・ラジオ部門で1位になった曲は当時のレビューで、”ここ最近多いクラブミュージック系かと思いきや、サビのメロディーが驚くくらい爽やか”と記しています。あらためて聴き直しても同じ感想で、聴く人を選びがちなサウンドでありながら非常に入りやすい楽曲に仕上がっているように思います。”カッコ良い””クール”、この言葉で形容されがちな音楽ですが、それだけではない魅力を非常に感じさせるナンバーと言えるのではないでしょうか。
「Almost There」はメインとコーラスが織り成す二層の歌声が心地良いナンバー。サウンドと声の親和性も非常に高いですね。幾重にも音が折り重なって作られた楽曲、という形容がとてもピッタリ。音がシャワーのように降り注ぐ「Zero Gravity」、ギターのリフレインが気持ち良さを増幅させる「Handcuffed」もそうですが、聴けば聴くほどに一曲一曲への音の拘りがとても伝わってきます。
「In Your Pocket」もクールさの中にポップが見え隠れしています。中盤のInterlude「See You Later」を挟んでヒップホップ色強めの「Supernova」、そして「ain't on the map yet」と続きます。
PVも作られている「ain't on the map yet」は今作の中でも極めてポップ性高め。音に合わせて踊っている映像も非常によく合っています。今すぐにでも車か化粧品のコマーシャルに流用できそうです。もっとも5月に発表された最新曲「Kiss You Back」は資生堂アネッサのCMソングになっていますが。あとは小気味良いラップナンバー「Follow Me」、それとは逆にゆったりしたリズムに多種の音を取り入れた「Spellbound」、インストの「Construction」を経て「Heart Like a Pool」。ちょっとした大団円感もある、このアルバムのまとめと言わんばかりのナンバーに仕上がっています。
間違いなくCDショップ大賞他で高い評価を得るであろう今作、今の時代にシティポップと言われる多種多様なジャンルを織り交ぜた音楽の中に秘められた大衆性。ここ最近注目度を上げるアーティストは、既存の音楽を自らの色に染め上げて独自の個性を出すのが上手い方々ばかりですね。本当に感心します。サウンドワークの巧さ、バックの演奏や打ち込みもそうですが、何より声の使い方が大変素晴らしいです。2018年の音楽を語る上で、欠かせない作品になるのではないでしょうか。今後発表される楽曲も非常に楽しみです。