
大逆襲(初回生産限定盤)(Blu-ray Disc付) - あゆみくりかまき

大逆襲 - あゆみくりかまき
1.残像フラッシュバック ☆
2.反抗声明(2017.12.6 Sg.)
3.Amagami Days
4.ゴマスリッパー(2017.4.12 Sg.) ☆
5.未来トレイル
6.SUGOROKU
7.旅立ちの唄(2016.11.23 Sg.)
8.つながり
9.HAVE A NICE DAY,世界(2017.4.12 Sg. c/w)
10.絆ミックス(2017.9.6 Sg.)
11.泣き顔笑顔(2017.12.6 Sg. c/w) ☆
12.星降る夜空に…
3人組アイドルパンクDJユニット・あゆみくりかまきが放つ2年ぶり2枚目のオリジナルアルバム。
メジャーデビュー以降、アイドルイベントだけでなくロックフェスにも多く出演している彼女たち。それゆえに前作もかなり良い内容に仕上がっていましたが、今作は2年間の成長が大変よく表れている力作に仕上がっています。いきなりですが、リードナンバー「残像フラッシュバック」からして素晴らしい出来。BiSやBiSHで大きな成果をあげている松隈ケンタが作曲を仕上げていることもありますが、大変疾走感のある内容に仕上がっています。元々ロック系の激しいノリも兼ね備えているグループなので、こういう系統ばかりだとそれこそBiSHと被ってしまいますが、ライブのセトリにおける1曲では非常に良いアクセントになりそうです。
あゆくまを知るキッカケとして、『銀魂』のEDテーマとなった「反抗声明」を挙げる人は多いでしょうか。”バナナ!サラダ!ほうれん草!”、一度聴いたら必ず耳に残るこのフレーズ。迫力抜群です。この勢いで入る「Amagami Days」もアップテンポで勢い良くまとまった楽曲。特にメロディーラインが上手く作られていて、盛り上がりやすくノリやすい内容に仕上がっています。
「ゴマスリッパー」はたむらけんじが作詞、PVにも出演。この曲も一度聴いたら忘れられないインパクト。これだけゴマスリを徹底的に描いた楽曲はクレイジーキャッツの「ゴマスリ行進曲」以来でしょうか。前面に出まくっている歌詞に隠れがちですが、トラックの心地良さも非常に大きなポイントとして挙げられます。
前半4曲は勢いに乗った形のスタートでしたが、直後の「未来トレイル」は優れたメロディーと歌詞で聴かせる楽曲。「SUGOROKU」はギター演奏が耳に残るロックバラード。この2曲は編曲に関して言うと全く違いますが、雰囲気は90's後半〜00's前半のガールズポップに近い部分もあります。「旅立ちの唄」は『NARUTO−疾風伝−』のEDテーマにもなったシングル曲。中盤は楽曲・音・歌声で聴かせる展開。「つながり」もテンポは速いですが、メロディーと歌詞は聴かせる内容。いわゆる”熱い曲”に仕上がっています。
「HAVE A NICE DAY, 世界」はパンクロックの色が強い楽曲。彼女たちが歌っているから日本語ですが、ロックバンドだと英語で歌いそうな内容です。シングル曲の「絆ミックス」もロックらしい熱い雰囲気が継続。「泣き顔笑顔」も良い意味で若手ロックバンドらしさに溢れる楽曲。シンプルに四分音符を組み合わせたサビのメロディーは、複雑化が年々進みつつある最近のJ-POPでは聴く機会が少なくなりつつあります。これだけスカッとさせる楽曲はなかなかないような気がしますね。ラストを飾る「星降る夜空に…」も管楽器が大いに盛り上げます。アルバム後半は青春を感じさせるパンクロック、ひと昔前だとFLOWが一番売れていた頃のサウンドに近いかもしれません。
アルバムの中で非常にハッキリ作られた流れ、平均3分台に収まる1曲1曲の短さ、何よりサウンドと歌い手からおおいに感じさせる爽快感。今年の上半期を代表する名作だと思います。活躍の場は2年前と比べても間違いなく広がっていますが、個人的にはもっと売れて然るべきグループ。アイドルグループの寿命は決して長くありませんが、彼女たちは既にアイドルと呼ばれなくなってからの活動も視野に入れている気がします。10年後も20年後も支持されるであろうグループとして、今からでも聴いておいて損はありません。アイドル好きにもロック好きにも、是非聴いて頂きたいアルバムです。次作にもあらためて、おおいに期待したいです。