2018年07月20日

チャットモンチー『誕生』(2018.6.27)

誕生(初回生産限定盤) - チャットモンチー
誕生(初回生産限定盤) - チャットモンチー
誕生(通常盤) - チャットモンチー
誕生(通常盤) - チャットモンチー

1.CHATMONCHY MECHA
2.たったさっきから3000年までの話 ☆
3.the key
4.クッキング・ララ feat. DJみそしるとMCごはん ☆
5.裸足の街のスター
6.砂鉄 ☆
7.びろうど
8.恋の煙 (同期ver.) with 小出祐介 (Base Ball Bear)


 チャットモンチーの音楽活動は、常に新たな挑戦。考えてみると、女性スリーピースバンドでこれ以前にチャットモンチーほど商業的に成功した存在はなく、2人組ユニットとしてもアルバムごとに大きな変化を遂げています。特に3人から2人になってから暫くしてリリースされたアルバム『変身』は2012年の最高傑作として、マイベスト1位にランクインさせています。要するにチャットモンチー以前にも以後にも同じようなバンドは存在しない、唯一無二のアーティストだったわけです。そんなアーティストが、2018年7月に”完結”を迎えるわけです。実に惜しいです。

 そのラストアルバムに『誕生』というタイトルをつけるのが実にチャットモンチーらしいと、思わず笑みを浮かべたくなります。そこで最初に再生される「CHATMONCHY MECHA」は、YMOを彷彿とさせるような電子サウンド。「風吹けば恋」や「シャングリラ」の頃にはおよそ想像できないような楽曲、それを含めて考えると本当に現在進行形のチャットモンチーを表現した作品と言えます。リードナンバーとしてPVも作られた次の曲は、「たったさっきから3000年までの話」

 現実と虚構が織り交ざった空間が、歌詞だけでなくサウンドや映像でも鮮烈に作られています。もう言ってしまうと、天才がさらに経験を重ねて果てしない領域にまで辿り着いたような、まさしく選ばれた人だけが書くことが出来る楽曲です。歌詞も音作りも長い間多くの曲を聴いてきた中で、これまで想像しなかったタイプの内容です。凄まじいことです。

 刺々しいギターの音が聴く方に緊張感を与える「the key」、DJみそしるとMCごはんが参加した極めて平和なラップチューン「クッキング・ララ」。硬と軟の対比が大変うまく出ている曲順です。みそごはんとハシエリは両者とも雰囲気のある癒し系、考えてみればこれまでコラボがなかったのが少し不思議なくらい。「裸足の街のスター」は、何と言ってもサビにある歌詞。”イノシシ年のロックスター いまも群れるのは嫌いさ…”。心の底からカッコ良いと思わせる楽曲に仕上がっています。バリバリのバンドロックではなく、ゆったりとしたテンポにハーモニカやドラムとは違う打楽器系を積極的に取り入れている所がまたロック。

 「砂鉄」を作詞したのは、ドラムを担当していたあの高橋久美子。サビに出てくる”だめだめでも”のフレーズは、『告白』収録の「やさしさ」を思い出させてくれます。一つひとつの言葉に込められている中身は、3人の間に伝わる絆。2008年のRIJで初めてステージを見た身としては、本当に胸が熱くなってしまう作品です。ラストは「びろうど」。命をテーマにした楽曲は子どもたちのコーラスもあり。そこには”命は親から子に受け継がれる”というメッセージが込められているのでしょうか…。実質ボーナストラックがデビュー曲を同期のBase Ball Bear・小出祐介とコラボした「恋の煙」

 
 チャットモンチーの生きざまを、完結直前にしてあらためて痛烈に表現したようなアルバムです。ほぼ間違いなく2018年トップクラス、五本の指に入る作品だと思います。明日・明後日のこなそんフェスで完結、明後日22日は私も足を運んで最後の瞬間を見る予定です。これもまた間違いなく忘れることの出来ないステージになることでしょう。21世紀初頭を駆け抜けたロックバンドとして、あらためて未来永劫語り継ぎたい存在です…。


posted by Kersee at 23:02| Comment(0) | アルバムレビュー(J-ROCK) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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